コロナ禍の中で住宅業界がすべきことは?

2度目の緊急事態宣言が7日に発令されました
この日、東京都の感染者数は初めて1日で2,000人を大きく超えてしまいました。
緊急事態宣言が発令されても主要建設会社の大半は工事を継続する方針です。
建設工事においては、中断か継続かの判断は工事の受発注者に委ねられているためです。

住宅の現場でも入場時の検温や消毒用アルコールの常備、作業中のマスク着用、換気の徹底(必要に応じて送風機等の使用)などの対策が講じられていますが、住宅現場には現場監督が常駐しているわけではないのでゼネコンの現場とは異なり、住宅会社によって職人への徹底度合いが大きく違っている様に思われます。

また感染防止対策は重要でも職人の新たな手間が増えることは間違いなく、作業効率が下がっても工事価格が変わらないのであれば真剣に対策を講じるかどうかは職人の意識次第となってしまう可能性が高いでしょう。
コロナ禍がこのまま長く続く様であれば住宅業界全体の受注減は確実と見られ、多くの会社で競合先との差別化を一層強化していくことが必要になります。
しかし差別化するといっても「安かろう、悪かろう」ではいけないのです。

またコロナ禍を背景とする受注減になった上で業務に関する制約が増えれば、現場の「職人離れ」が加速します。
これは現場を管理して職人に指示を出す立場の現場監督にもいえることでしょう。
近年では「仕事がきつい割に給料が安い」という理由で辞めてしまう現場監督も多く、私が現場監督をしていた約35年以上前とは全く状況が異なります。(当時からすでに建築系大学出身の学生にとって現場監督は不人気な職種でしたが、現在ほどではなかった様な気がします。)
これでは現場の技術レベルを保つことができません。
実際に素人の様な現場監督が増えていて、特に規模が小さいリフォームの現場ではそれが当たり前の様な状況になっています。
現場監督と話をしていても、全く話が通じないことも少なくありません。

現在のままの状況ではいずれ住宅業界は崩壊する?!

私はそんな今の状況にとても大きな危機感を感じています。
本来であれば技術レベルを向上させなければならない職人や若い現場監督が、仕事を確保するために安価を売りにすれば結末は目に見えています。
コロナ禍に伴う受注減に立ち向かうためには「仕事内容と対価」の関係を一度きちんと見直して、業界全体で顧客に対する理解を求めていくことが必要でしょう。
私は現在ホームインスペクターとして主に消費者の方からの相談に応じる立場ではありますが、元現場監督として中立的な立場から見解を述べていく様に務めていきたいと思っています。

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