千葉県のホームインスペクション専門会社匠住宅診断サービス代表の亀田です。
住宅の購入やリフォーム・メンテナンスのために、事前にホームインスペクション(住宅診断)を活用する方が国内でも徐々に増えてきた様に思います。
しかしその際に、どこに依頼すれば良いのかが非常に重要です。
ホームインスペクションはもともとは年間で600万戸もの中古住宅が売買されているアメリカから国内に伝わったものと言われていて、アメリカで活動するインスペクターの数はおよそ2.5万人も存在しているそうです。
そして売買される中古住宅のおよそ77%(年間約460万戸)でインスペクションが行われているというので、さすがに中古住宅の流通が盛んな国といえます。(単純にインスペクター1人あたりの年間業務量を計算すると、460万戸÷2.5万人=184戸になります)
またインスペクションの依頼者のほとんどが物件の買主で、インスペクターには住宅検査の国家試験にあたる「National Home Inspector Exam」に合格している必要がある様です。
1件当たりの調査時間は2~4時間程度とのことなので、家の広さの割には日本よりもだいぶ短いといえます。
検査料は1件につき500ドル(約5.4万円)前後が相場だそうで、1日に3件以上の調査を行うこともあるといいます。
したがって単純に年間200件の調査を行えば、売り上げは10万ドル(約1,080万円)超えが見込めることになります。
一方、国内の全住宅流通量(新築着工+中古住宅流通)に占める中古住宅の割合は13%程度であり、アメリカと比較すると1/6程度にしか過ぎません。
そして近年では国内でも中古住宅購入前のインスペクション実施率が向上してきたといわれていますが、まだまだ十分に浸透しているとはいえないのが現実です。
現在国内におけるホームインスペクションの依頼先が増えていますが、実際のインスペクションの依頼はホームインスペクターを多数抱えた会社に集中しているケースが多く、その様な場合にはメリットばかりではないので注意が必要です。
所属しているホームインスペクターが社員であれば問題ないのですが、下請けの様な立場の場合には元請会社への支払いが5万円であったとしても、インスペクター本人が受け取る報酬は3万円程度になってしまうことが少なくありません。
ホームインスペクションは、建物調査にかかる時間が3~4時間程度であったとしても、調査後の報告書作成に半日以上かかります。
他に現場までの移動時間等を考慮に入れれば、これでは十分な調査や報告書の作成ができないのは明らかです。
また、ホームインスペクションを行う会社が不動産業者やリフォーム会社とつながりのある会社だったり、関連会社・子会社だったりする場合もあります。
その様な場合には、住宅診断に不可欠な第三者性を維持できる可能性は極めて低くなってしまうでしょう。
したがってホームインスペクションの依頼先を検討する際には会社の規模や知名度も大切な要素ですが、それ以上に個々のホームインスペクターに適切な報酬が確保されているかどうかをよく見極めることが重要です。