千葉県のホームインスペクション専門会社匠住宅診断サービス代表の亀田です。
弊社には、中古マンション購入にあたっての事前相談が時々あります。
築30年を超える中古マンションを安く購入して入居前に大規模なリフォームを行ない、個性的な住まいを手に入れようとする方が増えている様です。
しかしマンションは一戸建住宅とは異なりそこに住まう人々の共有の建物なのでリフォームするにも様々な制限があり、リフォームが可能なのは専有部分に限られます。
共有部分と専有部分の境界はマンションによって多少異なりますが、その区分は管理規約に明記されていて、大きくはコンクリート構造体に囲まれた内側の部分が専有部分で、構造躯体は共用部分になります。
また玄関ドアの室外側、サッシ、室内のパイプシャフトなどは共用部分で、バルコニーやポーチ、1階の庭などは共用部分でありながら「専用使用権」が認められています。
一方、コンクリート壁で囲まれた室内側の配管や配線は専有部分になります。
ここで問題となるのは給排水の配管で、近年のマンションは専有部分となる自室のスラブ(コンクリートの床)上に配管されていますが、築30年を超えるマンションの場合には下の階の天井裏に配管されている(スラブ下配管)ことが珍しくありません。
スラブ上配管の場合には比較的自由にリフォームや修繕ができますが、スラブ下配管の場合には配管の変更や更新の際には階下の部屋の天井を剥がさなければならず、万一漏水が起こった場合にも下階の住民とトラブルになるケースがあります。
この様にスラブ下配管は区分所有者が維持・管理することができない(点検することもできません)ため共用部分としていることが多い様ですが、いずれにしてもリフォーム工事をする際には大きな制約を受けることになるので、必ず管理規約等で確認しておく必要があります。
中古マンションは一戸建住宅と比較して立地条件や利便性に優れていることが多く価格も手頃なのがメリットですが、この様な問題点も少なくないので購入前には十分に注意する必要があります。
たとえ購入後にリフォームを考えていない場合であっても、安心して生活するためにも専有部分と共用部分の範囲についてしっかりと確認しておくことが大切です。