千葉県の住宅診断専門会社匠住宅診断サービス代表の亀田です。
近年では若い人を中心に、中古マンションを購入して入居する前に自分好みにリフォームする方が増えています。
一方で中古マンションの購入前にホームインスペクションを行う方は、一戸建住宅を購入する方に比べて非常に少ない様です。
確かに中古マンションの場合には、戸建住宅の様に屋根や外壁、構造躯体、基礎、床下などの調査は行わないので、ホームインスペクションを行ってもあまりメリットがない様に思われがちです。
しかし購入後に間取り変更を伴うリフォームや、水回り設備の移動などの比較的大がかりなリフォームを考えているのであれば、事前に専門家による調査を行っておく必要があります。
マンションは主に「ラーメン構造」または「壁式構造」で建てられていて、特に「壁式構造」の場合には撤去できない耐力壁が室内に存在しています。
また既存のパイプスペースの位置などから、キッチンや浴室、トイレなどの水回り設備の位置が制限されてしまうことも少なくありません。
そして換気扇の位置を変更するにも、既存の梁との位置関係がダクトを配管する上で重要になります。
またマンションでは窓や玄関ドアの交換などができないのはもちろんのこと、電気やガスの容量にも上限があるので、自由に電気機器やガス機器を選ぶことができないばかりか、床暖房や空調機器を新たに設置するにも制限があります。
他にもフローリングに管理規約による防音レベルの制限があったり、マンションによってはフローリングに変更すること自体が禁止されていたりすることもあります。
こうしたことを知らずに中古マンションを購入してしまうと、購入後に自分が思い描いていたリフォームを実施することができずに後悔してしまうことになります。
私も過去20年程住宅会社でリフォームを行っていましたが、この様な方がたくさんいらっしゃいました。
不動産会社の社員は建築のプロではないので、こうしたアドバイスを不動産仲介会社から期待することはできません。
したがって中古マンション購入後に思い描いているリフォーム像があるのであれば、購入する前に建築のプロに現場を見てもらっておくことが不可欠です。
中古マンションはたとえ見た目は綺麗であったとしても、自分の希望通りにリフォームできるとは限りません。
あらかじめリフォーム会社に現地調査をしてもらっても良いのですが、リフォーム会社の社員の中にはプロとは呼べない人も少なくないので要注意です。(こうした会社では、現地調査は職人と一緒に行うケースが多い様です)
できれば住宅リフォームに精通したホームインスペクターに、希望するリフォームの可否と併せて物件の劣化具合、欠陥の有無、他に改修が必要な箇所などを見てもらっておくことで、リフォーム工事中に想定外の改修工事が必要になったなどということが避けられます。
また必要に応じて、管理規約の調査や管理人へのヒアリングなどを依頼することも可能でしょう。
物件購入前の建物の構造や管理規約の調査が不十分だったために、「工事内容が制限されてしまって、自分が思い描いていたリフォームができなかった・・・」などということにならないためにも、インスペクションを上手に活用してもらいたいと思います。