安易な「空き家対策」の顛末

先日、興味深いニュースを目にしました。(毎日新聞 2017年6月12日)

群馬県南西部に位置する自然に囲まれて風光明媚な甘楽町では、町内に点在する複数の空き家の所有者と交渉し、借り上げが決まった住居を宿泊可能な施設に改修して「客室」として貸し出すというプロジェクトを計画。
既存の地域交流センター(信州屋)にホテルのフロントとしての機能を持たせ、町全体を「ホテル」に見立てて観光客を呼び込もうとする町をあげての事業です。
成功すれば観光・地場産業の振興や地元での雇用の創出にもつながり、将来のモデル事業にもなりそうです。

2015年から空き家2軒を事業費3700万円をかけて2年がかりで改修。今年4月からのスタートを見込んでいたといいます。
しかしそんな「町の一大事業」がとん挫しているそうです。

その理由は、町中にある1軒は改修後に耐震強度不足が判明して所有者との折り合いがつかなくなり、追加工事の見通しが立たずにとん挫、山間部にあるもう1軒は土砂災害警戒区域等内にあって、県から危険性を指摘されたといいます。
あまりにもお粗末と思える理由ですが、この様な見通しの甘さが原因の失敗例は他にもたくさんあるといわれています。
この分野にはまだ経験豊富な専門家が少ないので、関連する専門家が協力して確認しながら業務を進めないと、同じ様な失敗は今後も繰り返されそうです。

空き家の有効活用として一般住宅に有料で客を泊める「民泊」事業は今後有望な事業といわれていますが、宿泊者の安全確保は重大な課題になるので、慎重に計画する事が大切です。

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