残念な外部塗装

私は2015年まで住宅会社に勤務し、そのうち20年程の間住宅リフォームに携わっていたので、ホームインスペクションをする際にもつい建物の修繕状況について気になってしまいます。
特に屋根や外壁、付帯部分などのメンテナンス状態については、人とは異なる見方をしてしまうことが少なくありません。

一般的に外部の塗装といえば屋根や外壁の塗装が主で、その他の部分はついでの作業として捉えられがちです。
しかし一般的な劣化のスピードといえば外壁よりも屋根が早く、更に破風板・鼻隠しや幕板、鉄製の手摺や面格子、シャッターボックス、雨樋などの付帯部分の方が早くなります。
劣化のスピードが違うということはそれに応じた塗料の選択や塗り方(工法)が重要で、各部が同じ時期に次の改修時期を迎えることができる様にすることが大切です。
したがって付帯部分だけが先に劣化してしまう様では、上手な改修方法とはいえません。
先に付帯部分だけを塗り替えるとしても足場代がかかってしまうため、現実的には付帯部分だけを先に塗り替えることはほとんどないでしょう。

塗装業者に塗料選択を任せっきりにしてしまうとこの様なことが起こりがちです。
たとえばシリコン塗料はウレタン塗料よりも耐用年数は長くなりますが(塗装工事代も高くなります)、木部などに塗る事はできません。
また近年ではシリコン塗料よりも更に耐久性の高いフッ素塗料がありますがこの場合も同じで、全ての部分が同じ時期に次の改修時期を迎える様にすることが大切です。
したがって、どんなに外壁は綺麗なままでも屋根や付帯部分が傷んでいたらとても残念な気持ちになってしまいます。
もちろん簡単なことではありませんが、あまりにも劣化のスピードが建物の部位によって違う様であれば、その塗り替え工事は成功したとはいえません。
しかもそれがわかるのは少なくても5年以上先のことです。

外壁・屋根の塗装工事の注意点

塗装工事の際に考えなければいけないことは、「その建物が10年後にはどんな状態になるのか?」ということです。
塗装業者からどんなに耐久性が高い塗料を紹介されたとしても、建物全体の劣化スピードが同じ様にならなければ高額な費用がかかってしまうだけになりかねません。
良い塗料を使用することは大切なことではありますが、高額な費用をかける場合には最低限の予備知識を付けておくことが大切です。

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