補強コンクリートブロック造住宅のホームインスペクション

千葉県のホームインスペクション専門会社匠住宅診断サービスの亀田です。

弊社では木造住宅に限らず、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)など様々な構造の建物の住宅診断を行っていますが、今回依頼があったのは千葉県では珍しい平屋の補強コンクリートブロック造(CB造)の住宅でした。
CB造とは、コンクリートブロックを積み上げてつくられた建物の構造のことをいいます。
CB造の住宅は、第二次世界大戦後に都市の不燃化と住宅不足解消のために国として普及をすすめた様です。
しかし1970年以降は金融公庫の融資が木造住宅にも適用される様になったため、CB造の建設戸数は全国的に急減してしまいました。
今ではコンクリートブロック造の住宅が新築されているのを見ることはほとんどありません。
唯一木材が比較的高価である沖縄では、CB造と木造の価格差が小さく、木造にはシロアリ被害があるため現在でもCB造の住宅が数多く存在している様です。

CB造の建設が減少した最大の原因はコストで、RC造や鉄骨造よりも安価ですが、木造よりも高価になるためです。
ブロック自体は安価でも、施工には手間がかかって近年では職人も不足しています。
マンションなどの大きな建物がCB造で建てられることはほとんどなく、今ではCB造の建物は小中学校のプールで良く見られる更衣室やトイレ、機械室などの様な小規模な建物がほとんどです。

しかしコンクリートブロックの独特なデザイン性をとりいれた建物も少数ながら存在しています。
コンクリートブロックの内部には空洞があるため積み上げただけではすぐに倒れてしまいますが、空洞に鉄筋を通してモルタルなどで補強することにより強度を確保します。
この様にして補強された建物は強固で耐震性・耐火性に優れていますが防湿性・防水性に欠点があり、プランやデザインの自由度が低い、増改築がしにくいなどのデメリットもあります。
またコンクリートブロック造には、耐力壁の中心線で囲まれた面積の制限や梁間及び桁行方向の耐力壁の長さの合計、耐力壁の厚さ(15cm以上)、耐力壁の構造などに様々な規制があるため、診断を行う際には注意が必要です。
この様に構造規定が厳しく設計の自由度が低いことがCB造の建物が少ない原因のひとつといえるでしょう。

私は過去に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造建築物の現場監督経験はあるものの、コンクリートブロック造については未経験のため(多くのホームインスペクターが未経験だと思われます)、改めてコンクリートブロック造について事前に学習しました。
住宅診断を行っているとそれまでの自分の知識を見直したり、新たな知識を身に付ける良い経験になります。


補強コンクリートブロック造建物の例(現在でも小中学校のプール関連施設には多く見られます)

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