要注意! 難付着サイディングボードの塗り替え

ここ数年の外壁塗り替え工事では外壁材が多様化しているため、塗り替え前の調査には今まで以上に細心の注意を払う必要があります。

近年のサイディングボードの中には、築10年以上経っても色あせがなくきれいな艶が残っていて、チョーキングと呼ばれる塗装表面が劣化して塗料の顔料がチョーク(白墨)の様に粉状になって表れる現象が発生しないものがあります。
この様な場合には、難付着サイディングボードが使われている可能性が高くなります。
難付着サイディングボードとは、製造メーカーにより何かしらのコーティングが施されたサイディングのことをいいます。
・光触媒コーティング
・無機コーティング
・フッ素コーティング
などの種類があり、チョーキングなどの劣化が少ないのが特徴です。

光触媒などの技術が外壁材に用いられたのは2001年以降なので、新しい建物ほど難付着サイディングボードが使用されている可能性が高くなります。
冷静に判断すると塗膜が傷んでいないのであれば外壁の塗り替えは必要ないと思われがちですが、築10年以上経過した外壁は塗装業者に奨められて塗り替えを行うケースがあります。

難付着サイディングボードの塗り直しは困難!

今回調査を依頼された建物も難付着サイディングボードが使用されている住宅でした。
塗装業者に奨められるままに塗り替え工事を行ったところ、工事が終わって1か月も経たないうちに部分的に塗膜が剥がれてしまったのです。
通常の建物の外壁改修の際には高圧洗浄で汚れを落とした後に下地の補修工事を行い、下塗り→中塗り→上塗りと外壁塗装を行います。
しかし難付着サイディングボードの場合には、コーティング部分に下塗り材が付着しにくくなっています。
下塗り材の付着力が弱まってしまうため、徐々に塗膜が剥離してしまうのです。
したがって難付着サイディングボードに誤って通常の塗装工事を行ってしまうと、塗膜が密着せずに少しずつ剥がれてしまう恐れがあります。

現在、専用の下塗り材を使用することで難付着サイディングボードにも塗装ができる様になっていますが、下塗り材と外壁材の相性もあるので、下塗り材の選定は慎重に行うことが大切です。
外壁塗装を行う際には、外壁材の種類と塗料についてのしっかりとした知識を持った業者を選ぶ必要があります。
万一、難付着サイディングボードに通常の塗装を行ってしまった場合には、塗り直しができずに外壁材の貼り換えが必要になってしまう可能性が高いといえるでしょう。
したがって築10年以上経過していてもほとんどチョーキング現象が発生していない場合には、難付着サイディングボードが使われている可能性が高いといえます。
家を新築した当時の設計図書や仕様書が残っているのであれば、必ず図面や仕様書で外壁材の製品名や品番を確認しましょう。


難付着サイディングボードの例(ケイミュー㈱ 光セラ)
塗り替え工事を行う際には注意が必要!

今回が今年最後の記事になります。
今年もお付き合いいただきましてありがとうございます。
来年が皆様にとって良い年になりますようお祈りいたしております。

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