ホームインスペクションでは様々な不具合や欠陥を目にします。
しかし、これらの不具合や欠陥を住宅の売主自体が知らない事もあります。
さて下の写真は中古住宅のホームインスペクションで、小屋裏の状況を撮影したものです。
野地板(屋根の下地材)と屋根垂木(野地板の受け材)に雨漏り跡と思われる染みや変色があるのがわかると思います。
中古住宅のホームインスペクションでは、小屋裏からこの様な雨漏り跡が発見される事は珍しくありません。
売却した家から雨漏りが発生した場合には、売主には瑕疵担保責任が生じます。
瑕疵担保責任とは、「通常の注意では簡単に発見できないような欠陥があった場合、売主が買主に対して負わなければならない担保責任」の事で、雨漏りや白蟻被害などがこれにあたります。
そして瑕疵担保責任は売主が気付いていなかった場合でも、免れる事はできません。
買主は「瑕疵を知ったときから1年以内」であれば、売主に雨漏りによって生じた損害の賠償を請求する事ができるのです。
しかし個人間の売買では、契約によって瑕疵担保責任を負う期間を短縮したり、売主の瑕疵担保責任を免除する事もできます。
「売主は瑕疵担保責任を負わない」とする売買契約も可能なのです。
ただし売主が雨漏りなどの瑕疵を知っていて買主にその事実を告知しなかった場合には、瑕疵担保責任を免れる事はできません。雨漏りしているのを知っていながら、物件状況確認書に「雨漏りなし」と記載されていた場合などです。
雨漏りは売主も気づいていない場合もある!
しかし買主が引き渡し後に雨漏りに気付いて売主に損害の賠償を請求しても、売主が雨漏りの瑕疵を知っていた事を立証するのは非常に困難だと思います。
実際に売主が気付いていなかった事や、売主がまったく気にしていなかったケースもあります。
冒頭の写真の様な雨漏りであれば、常に雨漏りしているわけではなさそうなので、売主も気付いていない可能性も否定できません。
売主の瑕疵担保責任を免除する条件で売買契約を行うのであれば、購入前の住宅診断(ホームインスペクション)は絶対に行っておくべきでしょう。
全ての隠れた瑕疵が発見できるとは限りませんが、リスクを大幅に減らす事ができるはずです。