リフォーム会社の利益率と見積書について

本日で熊本地震の前震発生から1年。震災関連死は今も増え続けているといいます。
避難生活による病気悪化などの関連死が多いそうです。住環境が健康面に及ぼす影響は思いの外大きいのだと思います。仮設住宅の環境改善が望まれます。

さて、一般的にリフォーム会社の利益率は30%前後です。
売り上げの30%がリフォーム会社の「儲け」だと思っている方も多い様です。
しかし、この場合の利益とは粗利益(売り上げから工事原価を差し引いたもの=売上総利益)の事で、経費は含まれていません。
粗利益から従業員の給与、賃料、車両費、水道光熱費、広告宣伝費、事務用品費、通信費などの経費を引いた営業利益率は5%あれば良い方で、1%から3%程度の会社も決して少なくありません。
年間の売り上げが3億円でも、リフォーム会社の営業利益は1,500万円以下です。

これはリフォーム会社に限らず住宅会社でも同様で、大手ハウスメーカーでも営業利益率が10%近くあれば業界トップクラスでしょう。

また新築と異なり、1件あたりの単価が低いリフォーム工事では、工事単価の平均は80万円といわれています。
(リフォーム会社経営実態調査  2016年リフォーム産業新聞社新年号 リフォーム会社600社のデータより)
よって1件あたりの営業利益は多くても4万円程度なので、価格競争による過剰な値引きや発注ミス、施工ミスなどがあれば、たちまち赤字になってしまいます。
この様な状態が続けば倒産という事になるので、売り上げは多くても営業利益率の低い会社は要注意です。

一方営業利益率が異常に高い場合には、工事原価に対して高額な利益が乗っている可能性がありますが、ほんの一部のボッタクリ業者を除けばリフォーム会社の営業利益率は総じて高くありません。

分かりにくいリフォーム会社の見積書の経費

数社のリフォーム会社の見積書を比較すると、工事単価はそれほど違わないのに経費・諸経費が大きく違う事があります。経費の中にはリフォーム会社の利益が含まれている事が多いのですが、ここでいう利益とは粗利益の事で、実際にはこの中には従業員の人件費や賃料、広告宣伝費などの経費が含まれているため、全てが営業利益(儲け)になる訳ではありません。
よって見積書に記載される経費は、規模が大きな会社ほど高額になる傾向があります。
そして工事が少額になるほど諸経費の割合が高くなるのが普通です。

また経費の中には、実際に現場で発生する費用も含まれています。
インテリアコーディネートなどのアドバイス費用や工事前の近所への挨拶、仮住まいや引っ越し業者の手配、工事を行わない部分や仕上げ材が傷つかない様にする養生費、残置物や家具等の移動費、毎日の片づけ・清掃の程度、工事保険、各種申請代行費、工事管理の程度、アフターサービスの程度などによって左右します。
これらはリフォーム会社にとっても支出になる費用です。

経費は発注者にとって安いに越したことはありませんが、安ければ良いというわけでもありません。
リフォーム会社によってどこまで行うかがまちまちなので、内容を十分把握して比較する必要があります。
経費がいくら安くても発注者への負担が大きければ、結果的に高くついてしまうでしょう。

リフォーム会社の経費は見積書には一式で表示される事が多く、一般的には工事費の8~15%程度の会社が多い様に思いますが、中には5%以下や20%以上という会社もあります。法令などで特にいくらと決められているものではありません。
そして会社によっては、経費の一部を工事項目に乗せて見積書を作成している場合もあるので、単純に経費の項目だけで比較する事もできません。
この場合は、見せかけの経費は安く表示されます。
いずれの場合にも、金額に見合うだけのメリットがあるかどうかを見極め、全体を見て判断する事が大切です。

以上の様に見積書に記載される経費には、リフォーム会社それぞれの経営方針やサービス内容が反映されています。
他社と比べて経費が高いからという理由で、経費に対する値引き交渉を行うのはあまりお奨めできません。
人件費や賃料、広告宣伝費などは会社を運営するために削れないため、他のどこかで帳尻を合わされる可能性が高くなります。
どうしても金額に見合うだけのメリットが感じられなければ、別の業者に発注する事をお奨めします。

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