リフォームをお考え中の方へ

以前にもご紹介させていただいた小説「君たちに明日はない」シリーズ(垣根涼介著)が、ついに第5巻「迷子の王子」で完結となってしまいました。毎回心にグサッと刺さる言葉が登場しますが、今回は次の2つでしょう。
「いつの時代でも、金儲け、あるいは金を稼ぐためにだけに仕事をする人間は、永久にその仕事から報われることはない。」
「社会的な利害、あるいは立場だけで繋がった人間関係は、簡単に膝を突き、崩れ落ちていく。誰かを大事に思う気持ちを持ち続けられる人間関係だけが、かろうじて生き残っていく。」
いずれもこの1年の間に実感した事です。

さて、私が昨年まで長い間携わっていた住宅リフォーム業界。
様々な問題がある業界ですが、今第三者の立場から客観的に見直してみると、改善すべき課題がはっきりと見えてきます。

私が住宅会社でリフォーム事業の責任者をしていて一番感じていた事は、「リフォームは難しくて大変な割に、儲からない」という事でした。
「儲からない」というと語弊がありますが、「苦労が多い割に報われない事が多い」と言った方が良いかもしれません。
報われる事が少なくても続けていたのは、必要とされる仕事だと断言できたからです。

集客のためには新築受注と同様に、営業マンの人件費やチラシ、営業ツール、ショールームなどの経費がかかり、集客単価は新築並みのコストがかかります。一方、新築と比較して工事単価が低いリフォームでは、1件あたりの単価や利益率を高めなければ経営が成り立ちません。

新築営業マンが3か月に1棟2,000万円の家を受注するのと比較して、リフォーム営業マンが50万円のリフォーム工事を毎月10件受注するのは大変な事ですが、それでも会社の経営状態は必ずしも安定しないのです。業務効率から言えば、受注単価をもっと大幅に上げないとマイナスにもなりかねないのが現実でした。

また業界内では、リフォームの粗利益率は最低でも30%は必要とされていますが、他社との価格勝負になれば適正利益率確保もままなりません。

リフォーム業者の選定には、建築の専門知識が必要

なぜこのような事になってしまうのでしょうか。
一番の理由は、リノベーション、増改築、リフォームは、非常に手間のかかる仕事であり、営業マンには新築住宅を販売する以上の建築知識や豊富な経験が必要になるという点が、消費者にあまり理解されていない事だと思います。
消費者ばかりでなく、自分で実務経験のないリフォーム会社の経営者さえも理解していない事もあるのです。
建物の見えない部分まで想像し、現状との取り合いや現場での納め方、リスク回避に至るまで臨機応変に対応できない営業マンでは、見積書ひとつ作成できません。

しかし、この様な業務に精通した営業担当者はそう数多くいるものではなく、新人営業マンであったり、新築部門で営業成績が良くないからリフォーム部門に移動させられた営業マンであったり、建築知識が全くない他業界からの中途採用者が対応しているリフォーム会社も多いはずです。すると、業務の効率は更に悪化してしまいます。

営業マンが訪問して現場を見て行ったにもかかわらず、後日改めて大工や職人を連れて現場調査を行う様なリフォーム会社は、営業マンが見積を作成する事ができずに、下請けの工務店や大工が作成する見積書に自社の利益を上乗せして提出するだけの会社です。しっかりとした品質管理を行うことができる現場管理能力があるかどうか不安が残ります。
そしてこの様な営業マンほど営業手法には長けている事が多く、巧みな営業トークを使って契約に持ち込むのです。

実際の問題として、見積作成もプランニングも施工も現場管理も全て下請け業者に丸投げというリフォーム会社はたくさんあります。
だから誰でもできる商売と誤解して、素人同然の業者が数多く参入し、市場を混乱させているのは間違いありません。

真面目なリフォーム会社ほど、営業マンに建築スキルの高い人材や、経験豊富な人材を充てたり、営業マンの育成に手間と時間をかけます。また、打ち合わせミスが発生しない様、ショールームを作ったり、図面やパース、スケッチを描いたり、見本やサンプルをそろえたりして、打ち合わせにも手間暇をかけ、しっかりとした現場管理体制のもとで工事を行います。
この様な業者のコストは当然高くなってしまいます。結果、価格競争に巻き込まれると経営が逼迫してしまう事にもなりかねません。

冒頭にも書きましたが、昨年まで私は長年住宅リフォームに携わってきました。
リフォーム会社の立場からはなかなかお伝えできませんでしたが、第三者の立場となった現在だからこそはっきりと断言できる事があります。

それは、リフォームで相見積もりを複数取得して比較するためには、「建築主ご自身に高い建築スキルがあり、必要となる工事内容を把握できないと決して正しい判断はできない」という事です。
そうでない場合は、単に見かけの金額が安い会社を選んだり、結局は素人営業マンの営業トークに乗せられてしまう可能性が高いという事を知って欲しいと思います。

見積書に一式という表現は禁物ですが、過去の経験から見えない部分を推測して見積書を作成する必要のあるリフォームでは、一式という表現を完全になくす事はできません。しかし建築主が思う一式と、相見積もりを依頼したA社の一式とB社の一式は同じはずはなく、どこをどの様な方法で施工するのかは会社ごと(担当者ごと)の考え方によって異なり、それがリフォームの見栄えや満足度に大きく影響する事も多いものです。
リフォームの見積書は、新築住宅の見積と比較して、元々曖昧な条件のまま比較される事が多いのです。

それでも業者選定に失敗しないために、複数業者から相見積もりを取って比較したいと思うのは当然だと思います。
その様な方のサポート先として、弊社の相談窓口をご利用していただけたら幸いです。

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