日本の住宅における断熱性能は多くの先進国よりもかなり劣っているといわれています。
「次世代省エネルギー基準」といわれる基準はもう18年も前(1999年)に定められた基準ですが、それ以降に完成した建物のホームインスペクションをしても、その基準をきちんと満たして施工された住宅は決して多くない様に思います。
そこで2020年に改定される建築基準法では、すべての新築住宅・建築物を対象に省エネルギー基準への適合を義務付ける方針が打ち出されています。
2020年以降は一定の断熱性能を満たさない家は建築する事ができなくなるのです。
2020年以降日本の伝統的な木造建築は建てられなくなる?
一方中小工務店が建てた住宅の省エネ基準適合率は2~3割程度で、その半数以上が次世代省エネルギー基準の住宅を建てた経験がないというデーターもあります。
特に伝統工法で建てる事が多い工務店では、建物の構造上の特性から気密化が難しい上に、通風や開放性を重視する間取りがとりにくくなるためです。
断熱性能を高めるためには、広くて開放感がある縁側がある家などは当然不向きで、今後建てる事ができなくなってしまいます。
日本の伝統的な木造建築は夏の蒸し暑さに対応するために、長い年月をかけて様々な工夫がされてきました。
しかし大きな開口部のある家では厳しい断熱性能を満たすのは困難です。
これからの住宅においては省エネ化は必須の時代の流れだと思いますが、日本の伝統的な住宅が建てられなくなるのは寂しいことです。
また伝統的な木造建築を建てられる大工もいなくなってしまう事が予想され、我が国の木造建築の技術も失われてしまう可能性があります。
「匠の技」を持つ大工がいなくなるのには抵抗を感じます。
一方では現在でも「日本の伝統的な住宅を建てたい」と思っている方は多いと思います。
私は断熱性や気密性などの欠点を十分理解した上でこの様な住宅を建てるのは「個人的にはありかな」と思っていますが皆さんの考えはいかがでしょうか?