下の写真は木材の継手の様子です。
金輪継ぎ(かなわつぎ)といって傷んだ柱の一部を交換する「根継ぎ」などに使用されます。
構造上重要な柱の全方向からの力に対応できます。
継手とは材木をつなぎ合わせるための技法ですが、見た目の美しさだけでなく強度も必要です。
継手には一般的な在来軸組み工法住宅で見られる腰掛け蟻継ぎや腰掛け鎌継ぎ以外にも、70種類位あるといわれています。
住宅建築に関わっている人や建築家でも、こうした継手を一度も生で見た事のない人が多いと思います。
機械によるプレカット加工ではとてもできない手刻みならではの継手には、高い精度が要求され、木のねじれを止めるための工夫もされています。
隠れて見えなくなるのがもったいない程で、芸術と言っても良いでしょう。
こんな加工ができる大工さんは匠というよりも、もはや神技です。
大工さんは以前はプロ野球選手やサッカー選手などのスポーツ選手と同様に、子供たちの憧れの職業でした。
しかし、年々人気が下がっている様です。
(小学生の将来なりたい職業 2002年 2位、2017年 9位)
大手ハウスメーカーのプレハブ住宅やツーバイフォー住宅、プレカットなどの普及によって、大工工事には以前ほど高度な技術が必要なくなりました。
継手も工場で加工されたものを現場で組み立てるだけか、金物や釘で留めるだけの簡単な作業です。
現在では宮大工や古民家の修復工事でもなければ、複雑な継手加工をする必要もありません。
しかし、このような我が国の伝統的な技術が継承されないのは非常に寂しい事です。
高気密高断熱仕様のツーバイフォー住宅やリノベーション済みのマンションもいいですが、棟梁の魂がこもったこんな家に住みたいと思いませんか?