一戸建て住宅の修繕積立金の目安

住宅の資産価値を維持、向上させていくためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせない事を何度もお伝えしてきました。
それでは、適切なメンテナンスをタイムリーに実施していくためには、いったいいくら位必要になるのでしょうか?

分譲マンションの修繕積立金に関しては、国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で公表していて、その目安が示されています。
それによると、15階未満5,000~10,000㎡のマンションの平均値は、専有床面積1㎡あたり202円/月となっていて、事例の2/3が包含される幅として140円~265円としています。(20階以上、5,000㎡未満などの場合は、多少割高になっています。)
よって床面積83㎡(約25坪)のマンションの毎月の修繕積立金の平均は、16,766円(年間約20万円)になります。
そしてこれより少ない場合は、将来修繕積立金が不足する可能性があると注意を喚起しています。
新築マンションなどでは、初期の修繕積立金が低めに設定されている場合があるので注意が必要です。

一戸建住宅を購入する場合にも、修繕積立金を考慮して!

一方、一戸建住宅の場合はどうでしょうか?
一戸建住宅の場合もおよそ10~15年ごとの屋根、外壁等の大規模な修繕、10年ごとの白蟻防蟻工事、防水工事、コンロや給湯器交換などの他、20年~30年を目安に室内の内装工事やキッチン、ユニットバス、便器、洗面台など住宅設備機器の交換、雨樋の交換等、定期的に大きな出費が発生します。
建物の構造や仕様、規模などによって多少異なりますが、私の試算では延べ床面積25坪程度の一般的な木造2階建住宅で、築後30年までに、最低限の必要な工事だけでも現在の貨幣価値で600万円以上はかかると思います。(ただし現状回復程度の内容で、グレードアップのための工事は含みませんが、その時代にあった最新の機能を取り入れるのが理想です。)
これを基に、1か月あたりの必要積立額を計算すると約17,000円で、ほぼ分譲マンションの場合と同程度の積立が必要になる事がわかります。

しかし分譲マンションの場合には、毎月修繕積立金が強制的に徴収されるのに対し、一戸建の場合には自らが積み立てておかなければいけません。
そして中には、修繕のための積立が必要な事をすっかり失念している所有者もいます。

本来であれば、建築した住宅会社できちんと説明を行うべきなのですが、ただでさえギリギリの資金計画で住宅ローンを組む場合などには、住宅会社の営業マンはこの様な説明やアドバイスを避けてしまう傾向があるので要注意です。
毎月きちんと修繕費用を積み立てておかないと、当然必要な時に必要な工事が行えなくなってしまいます。
私が以前勤務していた会社でも、築10年の定期点検後にメンテナンス工事の提案をしても、資金がないため見送る方が少なくありませんでした。
そうなってしまうと、住宅会社の長期保証なども継続できなくなり、建物の資産価値は下がる一方になってしまいます。

住宅を新築する際にはついギリギリの返済計画で住宅ローンを組みがちですが、ローンの返済の他に修繕のための積立が必要になる事を忘れない様にしてください。

また中古住宅を購入する場合でも、購入してから修繕が必要になるのは新築住宅を建てる場合と同じです。
建物の劣化状況に応じた修繕計画を考慮した上で、物件の購入を検討する必要があります。

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修繕積立計画の例

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