火災保険を用いた屋根の修理の申請方法

前回の記事で「風害による屋根の被害は火災保険を使って無料で修理できる」ことをお伝えしましたが、数名の方からその申請方法や手順についてのお問い合わせをいただきましたので、詳しくご説明させていただきます。

火災保険の申請はどなたでも自分で簡単に行うことができます。
一般的な手順は以下の通りです。(保険会社によって手順や必要書類が若干異なる場合があります)

1.保険会社または保険代理店に被災内容を伝えて相談する
  「昨日の台風で瓦が数枚ずれてしまった」、「屋根の頂部の棟板金が飛ばされてしまった」など具体的な内容を伝えます。
2.保険申請の書類を入手して記入する
  ➀保険金請求書
  ➁事故状況説明書
  ➂修理見積書
  ➃被害箇所の写真
 ➀と➁は保険契約者が作成しますが、➂と➃は屋根修理業者に依頼して作成してもらいます。
3.屋根修理業者に見積書の作成を依頼する
  保険会社によっては、見積金額が20万円未満の場合には保険適用にならないので注意が必要です。
  保険修理の経験が豊富な業者であれば、保険が適用になる見積書の作成方法や写真の撮影方法なども熟知しています。
  近年は屋根に登らずに、遠隔操作で地上から撮影ができるカメラやドローンなどの最新機器を使って撮影することもあります。
  あらかじめ火災保険を使って修理することを伝えて、対応できるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
4.保険会社の調査
  保険会社の依頼を受けた保険鑑定人が現地を訪れ、被害状況を確認するための調査を行います。
  また屋根修理業者が実在するかどうかを確認するために、保険鑑定会社が見積書を作成した屋根修理業者と直接連絡をとることがあります。
  尚、見積金額が少額な場合や適切な金額と判断された場合には、鑑定人の調査を行わないケースもあります。
5.保険金の確定と入金
  鑑定調査後約1週間から10日で、修理代の支払いに関する連絡があるのが一般的です。
  ただし大規模災害時などの場合は、保険金の支払いまでに時間がかかります。

概ね以上の様な流れになりますが、築30年以上経過して適切なメンテナンスが行われていない場合には、損傷は経年劣化によるものと判断されて保険適用にならないことがあります。
また保険適用になるのは被災した箇所の部分修理のみで、屋根の全面的な葺き替えを目的とするものは保険の対象にはなりません。
一方、保険会社から支払われる保険金の使い道は原則自由です。
屋根修理を行わなくても構いませんし、屋根の全面葺き替え費用の一部として利用することも可能です。

火災保険の申請代行業者には要注意!

ここで問題になるのが「火災保険の申請代行業者」の存在です。
申請代行業者とは「火災保険を使って無料で屋根修理ができます!」といったセールストークで、火災保険の申請サポートを行って高額な手数料を取ったり、工事受注を目的とする業者のことです。
保険金の50%程度の手数料を請求されることも珍しくなく、これでは屋根の修理費用が不足してしまうことにもなりかねません。
できるだけ高額な費用を保険会社に申請して、できるだけ手間をかけずに工事を行うのが常套手段です。
実際に手数料の支払いを巡ってトラブルになったり、保険金詐欺として保険会社と争うことになったりするケースが年々増えています。(国民生活センターや日本損害保険協会、経済産業省などの様々な団体が注意喚起しています。)
そのため保険会社もこうした業者からの申請を認めていません。
申請代行業者は、「自分で申請すると保険が下りなかったり、保険金が少なくなったりします」といいますが、決してそんなことはありません。
こうしたトラブルを避けるためには、火災保険の申請は自ら行い、屋根修理業者は自ら信頼できる業者を探すことが大切です。
火災保険を用いた屋根修理を切り口とした訪問販売の業者や、インターネットで集客している火災保険の申請代行業者に騙されない様にくれぐれも注意してください。
  
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