日経ビジネスの記事

日経ビジネス最新号の記事を読みました。
我が国の住宅が「資産」ではなく、単なる「消費財」に過ぎない理由を誰でもわかり易く解説しています。
記事の内容を要約すると
1、住宅の資産価値は購入直後から急落し、建物の価値は築20年でゼロ。20年後に売却すると、残りの土地代だけでは
  相殺できずに住宅ローンだけが残る。資産価値のないものにメンテナンス費用はかけられないので、ますます老朽化
  が進み、やがて空き家となる。
2、この結果1969年以降の国内住宅累計投資額と住宅資産額の差で500兆円が消失。
3、全国の空き家は2013年の調査時点で約820万戸。空き家問題が深刻な中で、更に年間90万戸の新築住宅が建築されてい  る矛盾。

高性能でハイグレードな家やメンテナンスやリフォームに費用をかけた家も、そうでない家も、20年後に売却する時は
同じというのは誰が考えてもおかしな事です。
このような状況になったのは、国、不動産・建設業者、金融機関にとって新築住宅の建築が都合がよかったからですが、
その理由なども詳しく書かれています。
国にとっては新築住宅であれば消費税と固定資産税が税収として入る、不動産・建設業者にとっては中古流通比率が高まれば新築着工の減少となり業績面でマイナスになる、金融機関にとっても現在の状況を自ら積極的に変える理由がないという
それぞれの都合があるからです。

我が国での新築偏重はいつまで続くのか?

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国はその対策としてようやくメンテナンスをした中古住宅に価値を認めるようにしたり、専門家の立場で中古住宅の品質を把握し適切な評価をするホームインスペクションの仕組みを作ったり、中古限定の優遇税制を導入しようとしていますが、
どれもまだ本気で取り組んでいる様には思えません。ホームインスペクションの認知は進みつつあっても、普及にはほど
遠い状況です。まだまだ新築偏重なのです。
このいびつな業界構造を根本から変えるのは、政府が担うべき役割と指摘しています。
「住宅の長寿化」へ政策転換が必要なのです。政府が本気で動けば市場が変わる事を、同じ敗戦国であるドイツの例をあげて解説しているので、興味のある方は一読する価値があると思います。

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