基礎のひび割れで注意すべきこと

住宅の耐震性に関心が高まる中で、もし購入しようとする中古住宅の基礎にひび割れを発見したら大きな不安を感じる方が多いと思います。

しかしひび割れにも種類があるので、基礎にひび割れがあるという理由ですぐに購入するのを控えてしまうのはいささか早計です。

基礎にひび割れが生じる原因として代表的なものは以下の通りです。
1.乾燥収縮
  乾燥によってコンクリートの内部の水分が蒸発することによりひび割れが発生します。
2.気温の変化
  夏場に施工された基礎に多く見られ、温度が急激に下がったためにコンクリートが縮んでひび割れ
  が発生します。
3.不同沈下
  建物が地盤の悪い場所に建っている場合などで、建物が傾くことによりひび割れが発生します。
4.地震の影響
  地震で建物に大きな力が加わったことによりひび割れが発生します。
5.施工不良
  コンクリートのかぶり厚さ(鉄筋の被覆)不足や締固め不良、コンクリートの強度不足、コールドジ
  ョイントなどの施工不良によってひび割れが発生します。
6.中性化等の経年劣化
  コンクリートが中性化して内部の鉄筋が錆び、内部からコンクリートが圧迫されることによりひび
  割れが発生します。

これらの中で問題となるのは、3~6です。

では、どの様に見分ければ良いのでしょうか。

危険なひび割れの簡単な見分け方

まずはひび割れの幅で判断します。
ひび割れの幅はクラックスケールと呼ばれる道具(ホームセンターで購入できます)を使って計測しますが、私たちが住宅診断を行う際には、幅0.5mm以上のものを「著しいひび割れ」、0.3mm以上0.5mm未満のものを「補修が望ましい劣化事象」、0.3mm未満のものを原則として「補修不要」なヘアークラックとして位置付けています。

また、ひび割れの方向や長さ、数にも注意する必要があります。

下の写真は、ひび割れの幅をクラックスケールで計測している様子ですが、この程度(0.1~0.2mm)の縦方向の微細なヘアークラックであれば乾燥収縮や気温の変化が原因と考えられるため、さほど問題ありません。
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しかし幅が小さなひび割れでも、限られた範囲の中で数多く発生している場合には注意が必要です。
その場所に何らかの負荷が掛かっている可能性があり、不同沈下の初期症状の可能性もあります。

また次の写真の様に、幅0.3mmを超えるひび割れが基礎の上から下まで伸びている場合には構造クラックの疑いがあり、建物に何らかの不具合が生じている可能性が高くなります。
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さらに水平方向に伸びるひび割れは、建物に大きな力が加わったことが予想されるので、建物の安全性に影響を与える可能性大です。(下写真)
また水平方向のひび割れは、水平に配筋された鉄筋に沿ってひび割れしていることが多く、鉄筋の腐食が原因である可能性も否定できません。

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基礎のひび割れは縦方向に発生するのが一般的で、そのほとんどが乾燥収縮クラックです。
一方、基礎の構造クラックだけですぐに不同沈下と決めつけることはできませんが、ほかに不同沈下が疑われる症状が建物内に発生していないかどうか、建物に傾きがないかなど、専門業者に診断を依頼することをおすすめします。

たとえ建物の安全性に影響がないひび割れでも、基礎のひび割れを長期間放置しておくと雨水が侵入して、鉄筋を保護しているアルカリ性のコンクリートが中性化してしまいます。
コンクリートが中性化すると中の鉄筋が錆びて膨張し、さらにひび割れが進行してしまうので、早めに補修を行う必要があります。
適切な処理を最適な方法で行うためにも、基礎に幅0.3ミリ以上のひび割れが多数生じていたら、できるだけ早く専門家に相談する様にしてください。

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