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近年ではローコスト住宅を手掛けるパワービルダーだけでなく、高価格帯の住宅を手掛けている大手ハウスメーカーでも施工の省力化、簡素化を進める傾向があります。
部材の工場生産を増やして現場での手作業を極力減らすことは工期短縮に繋がるので、ハウスメーカーにとっては量産化を進めるために不可欠なことです。
さらに職人数の減少が施工の省力化への動きに拍車をかけています。
大工1人当たりの新設住宅着工戸数は、2010年の約2戸/年から2030年には約2.9戸/年まで増えるといわれていて、さらに熟練の職人が減少しているのでやむを得ないことですが、施工を簡素化したために坪70万、80万円といった高額な価格の割に造りが安っぽい印象を受けてしまうことは否めません。
しかし、現場での施工を省力化することによって熟練の大工・職人がいなくても一定の品質確保が可能になるため、欠陥住宅防止に繋がるという点では非常に大きなメリットがあるといえます。
大手ハウスメーカーか地場工務店か? それぞれのメリット・デメリットを知ることが重要!
一方、商品開発スタッフがいない地場の中小工務店では、この様な現場施工の省力化は簡単にできることではありません。
たとえ施工の省力化を図っても大手ハウスメーカーほどのメリットは得られず、またパワービルダーとの価格競争に勝ち目はありません。
そのためあえて大工による手刻みにこだわった住まいづくりを掲げて、他社との差別化を図る地場の工務店が増えている様です。
「手刻み」とは大工が用途に合わせて木材を選別し、柱や梁に1本づつ墨付けを行って、ノミやカンナ、ノコギリを使って手作業で加工する方法です。
曲がりや歪みを修正しながら時間と手間をかけて木材を加工する古来より伝わる伝統的な技術になります。
工期短縮、コスト削減とは逆行することですが、上棟時のしっかりと組まれた軸組の安心感は、パワービルダーや大手ハウスメーカーの住まいでは味わうことができないものです。
しかし当然大工の腕の差による品質のバラツキが生じ、腕の悪い大工にあたると欠陥施工になってしまいます。
したがって「手刻み」には大工の技量が不可欠なので、大工の育成、技能・技術の継承が必要になります。
これからの住まいは、作業効率や品質の均一化を追求するものと、大工・職人の技能を活かしてあえて手間をかけるものとの2極化が進むと思われます。
どちらがいいとは一概にはいえませんが、それぞれのメリット、デメリットを十分に理解した上で工事の依頼先を決めることがますます重要になるでしょう。