ぼったくりリフォーム業者の巧妙な儲けの手口に注意!

消費増税が2年半先送りされる様です。
これで今年の駆け込み契約はなくなりました。
生き残りをかけた住宅会社の戦いは続きます。

今回は、以前少しお伝えしたぼったくりリフォーム会社の話の続きです。
最近では「儲けの手口」もだいぶ巧妙になっていて、法律に抵触しない方法で法外な利益をとっているリフォーム業者が、今も身近なところに存在しているので注意が必要です。

私もつい最近、あるリフォーム会社の見積書についての相談を受けました。
事の発端は、千葉県内に住むご高齢のお母さまが、一級建築士事務所の看板を掲げて訪問販売を行っているリフォーム会社C社とリフォーム工事の契約をした後で、その内容を不審に思った息子様が近所のリフォーム会社に相談に行き、そのリフォーム会社から私が調査の依頼を受けたものでした。

すぐに施主の息子様と連絡をとると、工事はすでにほぼ終了しているとの事。とりあえず見積書を送付してもらい、内容を確認したところ、屋根の葺き替え(ガルバリウム鋼板瓦)と、外壁塗装(UVプロテクトクリア)、バルコニー防水で合計500万円になっていました。それでも70万円近くの値引きの他、雨樋交換もサービスとなっているので、かなりお得に感じてしまったのでしょう。見積書の明細も細かく書かれていて、数量や単価もきちんと記入されているので、一見しっかりとした見積書に見えます。特に相見積もりを依頼する事もなく、業者を信用して契約書を取り交わしたとの事でした。

ところが、単価をひとつひとつ見ると、どれも一般的なリフォーム業者の単価の1.5倍近くで、中には2倍以上のものもあり、メーカーの設計価格を大きく超えるものばかりです。
同じ工事内容で他のリフォーム会社に見積を依頼すれば、総額で半値近くにはなる様に思います。

契約する前の見積書のチェックは慎重に!

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しかし、工事はすでにほぼ完了しているため、この会社への支払いを拒否できるかというと、見積金額が法外というだけでは簡単ではありません。「市場価格を大きく超える金額で販売してはいけない」という決まりはないためです。
契約書にはきちんとお母さま本人による署名捺印があり、クーリング・オフについても契約書面に不備なく表記されていて、説明もあったとの事なので、既にクーリングオフできる期間も過ぎています。
これでは契約時には契約書に添付された見積書の内容について、お互いに合意がなされていると見なされても仕方ありません。

工事に大きな欠陥があるか、不要な工事を必要な工事と偽って勧誘するなどの消費者契約法(※1)に違反する不実の告知などの特別な事情でもない限り、見積書の減額を要求したり、工事代金の支払いを拒んだりする事は簡単にはできそうにありません。
またC社は、建設業の許可を受けていませんでしたが、500万円の契約を2回に分けて行い、契約書の日付けも分けるなど、抜け目がありません。

※1 消費者契約法
契約の対象になっている商品やサービスなどについて、業者が事実と違う説明をし、消費者がそれを事実と誤認して契約した場合は、契約後5年以内ならばだまされたと気付いた時から6か月の間に、契約を取り消しする事ができます。
クーリングオフと異なるのは、代金支払い済みの場合であっても、返還を求める事ができ、また現状回復が困難な場合でも、代金の返還請求が可能です。

実際に現場に伺い、お母さまの話を聞くと、C社の営業担当者も現場の職人も非常に感じが良く、好印象だとの事。
例え金額が高くても、まだ工事が終了していない事から、リフォーム会社との揉め事は避けたい様子です。
何よりも工事途中でクレームを言って、いい加減な工事をされてしまう事が不安なのです。
それにしても、常識外の価格の見積書を提出し、法外な利益を得る事が正当化できるはずがありません。
人柄だけで素人営業マンを信頼するのは危険です。

その後、こちらからの指摘によって、C社は一部の単価を訂正した見積書を提出してきましたが(約75万円の減額)、元の見積書に記載されていた値引きの項目を削除してしまったため、トータル金額はほとんど以前のものと変わっていませんでした。
先方の言い分は、もともと価格の高い分は値引きしていたとの事でしたが、これでは100円のものを150円で見積もって、50円値引きしていた様なものです。
見積書の項目で値引きと表記していながら、本来の値引きとはいえないでしょう。見積書の表示は明らかに「不当表示」にあたります。
実際にはありもしないサービスで勧誘しているのですから、これが消費者契約法の「事実と違う説明」に該当すれば、契約を取り消して代金の返還を求める事ができそうです。これから弁護士さんに相談です。

また、この業者は、法外な単価で受注しておきながら、見積書に記載していて実際には取りやめになった工事の減額にも、最初は応じようとしませんでした。
こちらから減額を要求しなければ、おそらくそのまま請求されていたと思われます。
私が打ち合わせに同席した際には、先方の支店長H氏は、打ち合わせ内容のメモなどをとる事はほとんどなく、同席を求めた先方の一級建築士なる人物も、施工の事は全くわからないのか最後まで一言も言葉を発しませんでした。工事の保証書も通常発行していないとの事で、全てが口約束の様です。
まるで信用できない仕事ぶりでした。(工事を行わなかったものについては、最終的には減額に応じてもらい、保証書も発行してもらいましたが。)

C社のホームページには、「信頼・信用・親切。お客様と共に満足を得るリフォームを目指します。お客様との信頼関係を深め、リフォーム業界全般の信用回復に努めてまいります。」などと書かれているのですが、これではリフォーム業界全体に不信感が増すばかりではないでしょうか。この様な一部の悪質な業者のために、業界全体のイメージが悪くなるのは残念でなりません。
実際にC社は、近くの他のお客様との間でもトラブルを起こしている様でした。

訪問販売のリフォーム会社には要注意!

しかしこの様なケースになると、後から価格交渉するのは非常に難しくなってしまいます。トラブルを避けるには、契約前に予防するしかありません。
特に、外壁・屋根のリフォームや、耐震工事の訪問販売業者は要注意です。工事が着工してからでは既に手遅れになってしまいがちです。営業マンの求めに応じてすぐに契約する事は避け、契約する前に他のリフォーム業者から相見積もりをとって比較するか、専門家に見積書をチェックしてもらえば、この様な被害にあう事はありません。

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