ホームインスペクションは自分でもできるか?

日本ホームインスペクターズ協会や住宅瑕疵担保責任保険協会のマニュアルでは、ホームインスペクションは、建築物の調査・診断の中で、一次診断に相当するものと位置付けています。これは病院に例えるなら、「健康診断」のレベルなので、費用をかけてわざわざ専門家に依頼するまでもなく、自分自身でできるのではないかと考えている方もいると思います。調査も目視による調査が中心で、特殊な測定機器もさほど使わないとなればなおさらです。住宅診断に必要なチェックリストさえ入手できれば、誰にでも調査できそうです。中には、ホームインスペクションなど「お金の無駄」と言う人さえいます。

中古住宅の購入などにあたって、事前に建物についての基礎知識を身につけ、チェックリストの項目に基づいて建物の劣化状態を調査する事は、実はそれほど難しい事ではありません。また、ホームセンターで水平器を購入すれば、自分でも建物の水平や傾きを調べることもできます。
ホームインスペクターの有資格者の中にも、さほど建築の実務経験がない人も実際にいます。劣化事象の有無を調査するだけのインスペクターなら、確かに費用をかけて調査を依頼する価値はないかもしれません。

しかし、傾きや歪み、ひび割れ等の不具合を発見できたとしても、それが建物の構造耐力上どの程度影響を与えるのか、その原因は何なのか、購入しても大丈夫なのかなどの判断をするのは、建築の専門家でないと容易ではないでしょう。
中古住宅では、一般的にはどんな建物でも何等かの劣化事象が発生しています。何もない事はほとんどありません。
外壁にひび割れがある、基礎が一部欠けている、サッシ廻りのシーリングが切れている等を発見したとしても、それが重大な欠陥なのかどうかわからないのではないでしょうか?
発見した不具合を仲介業者や売主、施工業者などに伝えても、「中古住宅なので仕方がない。問題ありません。」と言われてしまうでしょう。
一方、築年数相応の劣化事象まで必要以上に気にかけていたら、いつまでたっても中古住宅は購入できません。
ひとつひとつの劣化事象を関連付けて、総合的に建物のコンディションを把握するのが本来のインスペクションの目的です。発見された不具合が重大なものなのか、そうでないのかを見極める事が重要なのです。ただ単に劣化の有無を判定するだけではありません。

専門家でないと難しい中古住宅の新築時からの不具合の発見

また、中古住宅のインスペクションを行っていると、新築時からの不具合が発見される事もあります。中古住宅の経年劣化のチェックとは異なり、これらの不具合を発見するのは、専門家でないと難しいでしょう。
この場合には、「中古住宅なので仕方がない」は通用しません。新築当時から存在していた不具合なのですから。

下の4枚の写真は、弊社匠住宅診断サービスが最近行った中古住宅のホームインスペクションで、屋根裏と床下で発見した不具合事例です。
いずれも新築時から存在していたと思われるものですが、どれも住宅性能に影響を及ぼすもので、見逃す事ができる軽微なものとはいえず、依頼者への報告が必要と思われるものです。
それぞれの写真に複数の不具合が写っています。これらを完全に指摘できる方なら、専門家に依頼する必要はないかもしれません。
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