本日朝出社すると、4月下旬に3度目の花を咲かせた胡蝶蘭が5つ目の花を咲かせていました。
去年より1か月以上も早く満開になりました。あと1か月位は目を楽しませてくれそうです。
さて、一戸建住宅のホームインスペクションでは、必ず柱や床の傾斜測定を行います。(傾きの調査はホームインスペクションの必須項目とされています。)
一般の方は「住宅には一分の傾きもなくて当たり前」と思われている方も多いと思いますが、オートレーザーなどの精密機器を使用して計測すると、全く傾きがないというケースは実はほとんどありません。程度の差こそあれ、新築住宅でも傾きが見つかります。
しかし住宅に傾きがあれば、それが重大な問題である可能性も否定できません。
「傾いている家になど住めるはずがない。」、「欠陥住宅に違いない。」となって、多くの方が冷静ではいられなくなってしまいます。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によれば、3/1000以上6/1000未満の傾きがあると構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が一定程度存在し、6/1000以上あれば瑕疵が存する可能性が高いとなっています。
あくまでも「可能性がある」という事なので、建物の傾き=欠陥住宅と決めつける事はできません。
傾きがどの様な理由で生じているのかが重要になります。
床の傾き=欠陥住宅とは限らない!
床が傾く原因としてはいくつかが考えられます。
➀床の下地材や根太・大引きなどの床組みの劣化、床束(床組みを支えている材料)の浮きや沈下
➁新築時の施工精度が低い(大工の腕が悪く、新築時から傾いている)
➂建物の構造的な問題(梁が細く、荷重を受けてたわんでいる、木材の乾燥収縮によって梁が変形しているなど)
➃地盤沈下
などです。下にいくほど深刻な問題となり、修理費用も大きくなります。
また、原因によってはさほど大きな問題でなかったり、少ない費用で修理可能な場合もあるので、冷静に判断する事が大切です。
中には何でもかんでも欠陥住宅と決めつける専門家もいるので、注意が必要です。
部屋の中央に向かって傾斜しているのか、外側に向かって傾いているのか、同一方向に傾いているのか、傾斜が部屋ごとにバラバラなのか、基礎や外壁にひび割れがないか、床下の状態はどうか、プラン上設計に無理はないか、塀や門扉が傾いていないかなど、私達ホームインスペクターは関連する様々な症状や状況を確認した上で総合的に原因を予測します。
単に傾きを測定するだけなら、建築に携わる者なら誰でもできます。
しかしその原因を的確に判断するためには、現場における経験値がモノを言います。単に資格があれば正確な診断ができるとは限らないので、調査の依頼先を選定する際には、現場での実務経験や建物調査の経験がどれ位あるのかを事前に確認しておくべきだと思います。
床下や天井裏に一度ももぐった経験のない設計士(建築士)は、思った以上にたくさんいるものです。
オートレーザーによる床や壁の傾斜測定