建物の不具合が原因で起きる問題の一つに「カビの発生」があります。
特に冬になると多いのが、結露によるカビの問題です。
結露は建物の寿命に大きく影響するばかりでなく、結露が原因で生じるカビは健康被害をもたらすので、軽視する事はできません。
そして天井裏や壁内などの内部結露は見えない部分で発生し、いつの間にか木材を腐らせるので建物にとっては大敵です。
近年では、結露対策として通気層を設けるなどの対策が進められてきました。
しかし住宅のホームインスペクションを行っていると、比較的築年数の浅い住宅でも断熱工事の施工不良や結露対策が十分でないものを多く見かけます。
住宅の気密性がそれほど高くなかった20年以上前の建物では、断熱工事や防湿対策はそれほど重要視されていませんでした。
床下に断熱材が施工されていなかったり、天井や壁の断熱材が隙間だらけだったりする事も珍しくありませんでした。
しかし住宅の高断熱・高気密化が進んだ近年では、断熱工事や防湿工事に不具合があると内部結露の原因になってしまいます。
特に現在でも小屋裏の結露対策については、あまり考慮されていない事が多い様です。
冬に小屋裏で結露が発生するのは、住宅の気密性が向上した事で逃げ場のなくなった室内の水蒸気を多く含んだ暖かい空気が、部屋の中を上昇して天井付近の隙間などから小屋裏へ侵入し、小屋裏の冷たい外気の影響を受けるのが原因です。
また小屋裏の換気不足も結露を助長する原因になります。
小屋裏の結露を防止するためには?
天井裏の断熱材を隙間なく敷き詰め、小屋裏の換気を適切に設計、施工していれば大抵は防げるのですが、20年程前と変わらず隙間だらけでいい加減な断熱工事が行われている事は少なくありません。
また、小屋裏に湿った空気が侵入しない様に、天井の防湿対策や壁の気流止めを施工する事も非常に有効な手段なのですが、ここまできちんと配慮されている住宅は残念ながら多くありません。
ローコストハウスメーカーの住宅や、断熱工事に対する意識の低い大工さん、工務店任せの建売住宅にこの様な傾向があるので、注意が必要です。
こうした問題が発生しないようにするためには、
1、断熱材が隙間なく丁寧に敷き込まれているか。
(特にユニットバスや小屋裏収納周辺の施工不良が多い)
2、小屋裏の換気が適切に設計・施工されているか。
3、天井の防湿対策はどの様に行っているか。
の3点は必ず確認しておくべきだと思います。
住宅性能は日々進化しています。
ここ数年の間でも様々な法改正や工法の改善が行われています。
一方、腕は良くてもこうした新技術を知らない大工さんや工務店もいます。
良い住宅を建てるためには、きちんと品質管理ができる会社を選ぶ事が大切です。
天井の石膏ボードと天井断熱材の間に発生した結露が原因と思われるシミ跡
天井の防湿対策の例(防湿シート貼り)