マイホームを購入する際には、契約する前に第三者の専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を行う事をお勧めしたいと思いますが、費用がかかるのでまずはできるだけ自分でチェックしたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
本格的な調査には専門的な知識やスキル、調査機器などが必要になりますが、一般の方でも見るべきポイントを押さえてひとつづつチェックしていくことで、「その家が丁寧に建てられたものなのかどうか」、「手抜き工事が行われていないか」、また中古住宅であれば「所有者に大切に扱われてきた物件なのかどうか」などを見抜くことができます。
今回は一般の方にも比較的簡単に実践できる住宅購入時のチェックポイントをご紹介したいと思います。
マイホーム購入で失敗しないための内覧時のチェックポイント
(外部)
まずは外周りからチェックします。
・基礎や外壁の継ぎ目などにひび割れがないか
近年の住宅の外壁には、ほとんどがサイディングボードと呼ばれるものが使われています。
新築住宅であればサイディングボードがひび割れしているケースは滅多にありませんが、時々サイディ
ングボードを留め付けている釘の周りに割れや欠けが発生していることがあります。
釘を打つ場所が悪いことが原因であることが多く、割れや欠けが数多く見られる場合(補修跡を含む)には、
雑に建てられた可能性が高いと思った方が良いでしょう。
また、見た目でわかる基礎の欠陥にひび割れがあります。
近年の新築住宅では基礎がひび割れしているケースは少なくなりましたが、中古住宅の場合にはひび割れ
が発生していることが多くあります。
幅0.3mm以下のひび割れ(ヘアクラックといいます)であればそれ程問題ではありませんが、幅0.5mm以上のひ
び割れや、幅0.3mmのひび割れでも数多く発生している場合には、建物に隠れた瑕疵がある可能性が高いとい
えます。
この様な場合には、専門家に調査を依頼した方が良いでしょう。
・軒先の天井やバルコニー裏側の天井、庇の裏側などに染み跡がないか
これらの部分に染み跡がある場合には、雨漏りしている可能性が疑われます。
中古住宅では割と良く見かける事象です。
専門家による調査を行っておくと安心です。
(室内)
・床や柱、壁が傾いていないか
床の傾きは特別な器具を使わなくても、スリッパを履かずに指先に感覚を集中しながらゆっくりと歩くこと
でチェックできます。
一般的にビー玉を転がす方法が良く知られていますが、ビー玉が転がるほどの傾斜がある場合には、スリッ
パを履かずにゆっくりと歩いてみるだけでわかります。
違和感を感じたり、床鳴りやきしみがある場合には、専門家に詳しく調査してもらうことをお勧めします。
また、建物の傾きは室内のドアでチェックすることができます。
ドアや引き戸を開けて、途中で手を離します。
家が傾いている場合には、ドアや引き戸が手を離したところで止まらずに、閉まったり開いたりします。
・天井付近や窓周りの壁紙に染み跡がないか
染み跡がある場合には、雨漏りや結露の可能性があります。
カビ臭さや何となく湿り気を感じる場合は要注意です。
・目に見える部分に隙間がないか
部屋の入隅(部屋の四隅など)の壁紙や、巾木と床の間、ドア枠、階段廻り、玄関框などの目に見える部分に
隙間がないかどうかをチェックします。
通常このような目につきやすい仕上げの部分は、隙間が生じない様に特に丁寧に施工するものです。
目に見える部分に数多くの隙間が見られる様であれば、雑に作られたものか、腕の悪い大工や職人によって
建てられた可能性が高いです。
目に見えない部分には、さらに大きな欠陥が潜んでいる可能性が高いといえるでしょう。
・床下の確認
床下点検口がある場合には、必ず頭を入れてのぞき込む様にしましょう。
近年の家のほとんどには、1階部分に床下点検口や床下収納庫が設置されています。
床下収納庫の場合は、蓋をあけて中の収納庫を取り外せば床下を覗くことができます。
その際、懐中電灯を持参すると、奥まで確認することができます。
また、後々のために写真を撮っておくことをお勧めします。
専門的なことはわからなくても、以下の点を確認すれば大きな欠陥を避けることができます。
1.湿気やカビ臭さを感じないか
2.水漏れしている形跡はないか
3.床下はきれいに掃除されているか
4.床下の断熱材が入っていない場所はないか
時々床下に水が溜まっている、床下の断熱材が下に落ちている、床下に木くずやゴミが落ちているなどの不
具合を見つける場合があります。
その様な場合には施工業者の現場管理が杜撰で、必要な検査が行われていない可能性があります。
また床下のゴミなどは片付ければ良いことなのですが、このような現場の職人や施工業者への信頼度は低
いと思って間違いないでしょう。
他にも大きな欠陥がある可能性が高いので、専門家に詳細な建物調査を依頼した方が安心です。
・天井裏の確認
最上階の天井やユニットバスに点検口がある場合には、できるだけ点検口から頭を入れて覗いておく様
にしましょう。
チェックポイントは以下の点です。
1.小屋裏の木材に染み跡はないか
2.金物のボルトのナットが緩んでいる箇所はないか
3.最上階の天井断熱材は隙間なくきれいに敷き込まれているか
4.ユニットバス換気扇のダクトはきちんと接続されているか
以上のことは、特に専門知識のない一般の方でも確認が可能です。
ユニットバス換気扇のダクトが接続されていない事例は意外と多いので、きちんと確認しておくと安心で
す。
また、金物のボルトのナットが緩んでいる箇所が多数あると、建物の耐震強度が著しく低下してしまいま
す。
特に中古住宅では、木材が乾燥して収縮したためにボルトのナットが緩んでしまうケースも珍しくありませ
ん。
実際に中古住宅の中には、壁を体全体で強く押して揺らすだけで大きく揺れる家もあります。
この様なケースでは、専門家に建物調査を依頼する必要があるでしょう。
以上の点は、一般の方でも比較的容易に確認することができます。
マイホームを購入するにあたって専門家によるインスペクションを行わない場合には、最低限自分自身の目で確認しておきたい項目です。
そしてこれらの項目は家の安全性や耐久性に関わるものなので、キズや汚れをチェックするよりも重要なチェックポイントになります。
契約してから後悔することがない様に、是非皆様にお薦めしたいと思います。
金物のナットの緩み
この様な不具合は点検口からのぞき込むことで、建築知識のない一般の方でも簡単に見つけることができますが、建物の耐震強度の低下など重大な欠陥につながる可能性があるので軽視できません。