苦労して長期の住宅ローンを組み、ようやく手に入れたマイホームの基礎にひび割れが発生した、床が傾いている、雨漏りがするなど「欠陥住宅」の疑いが生じた時には、つい動転してあわててしまうものです。
売主や住宅会社に連絡してすぐに補修工事を行ってもらえれば良いのですが、何だかんだと理由をつけて対応してもらえなければトラブルになります。
欠陥住宅には、法令違反の建築と契約内容に違反した建築の2種類があります。
売主や建築会社に瑕疵保証を請求するためには、まずはどんな欠陥(瑕疵)がどこにあって、そのためにどの様な損害をもたらしているのかを明らかにしなければなりません。
法令違反の欠陥住宅の多くは、完成後に仕上げ面に生じた不具合がきっかけとなって疑いを持つ様になるケースが多いと思います。
基礎や外壁のひび割れ、壁紙のよじれ、床鳴り、各部の隙間、建具の開閉不良、柱や壁の傾き、床の傾斜、かびの発生、雨漏りなどが代表的な事例です。
しかし、建物の仕上げ面に生じた隙間や部分的な浮き、剥がれだけでは欠陥住宅とはいえません。
これらの仕上げ面に生じた不具合が、単に仕上げの施工不良や材料の乾燥収縮によるものなのか、または下地や主要構造部に欠陥があって生じているものなのかを見極めなければいけません。
こうした調査は素人では不可能なので、専門家に依頼します。
専門家に調査を依頼し、調査報告書を作成してもらって売主や建築会社に瑕疵保証請求する必要があります。
専門家の調査結果が出るまでは、決して「欠陥住宅だ」と必要以上に騒ぎ立てないことが大切です。
建物の構造、設備、仕様等に建築基準法等の法令違反があれば責任追及は比較的容易なので、冷静に行動しましょう。
契約内容違反建築の責任追及は難しいので、事前に対策を!
一方、建築紛争ではこの様な法令違反建築よりも契約内容違反の方がより厄介です。
法令は変更することができないので違反している内容さえ立証できれば良いのですが、契約内容は当事者間の合意で決まるものなので、現場によって異なるため立証するのが困難なケースが多いのです。
しかし、完成した建物が約束したものと異なれば契約の目的を果たしているとはいえないので、この様な住宅も欠陥住宅といえます。
万一、売主や建築会社が補修などに応じなければトラブルになります。
こうしたトラブルを避けるためには、業者との打ち合わせ内容を書面に残しておく事が重要です。
特に当初の図面からの変更点や仕様変更などは必ず書面化しておく様にしましょう。
2004年4月1日以降に契約した新築住宅に関しては、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、住宅の構造上主要な部分または雨水が侵入する部分については売主や建築会社に対して、法律上10年間の保証義務があります。
しかし実際には、発見された不具合が保証の対象になるかどうかが問題になることがあります。
雨漏りは雨水が屋内に侵入していることが目視で確認できるので、保証の対象として明らかですが、主要な構造部分の欠陥については保証対象として認めてもらえないことがあります。
また期限が過ぎてしまったり、契約内容違反の瑕疵の場合は民事裁判で補修請求することが難しくなってしまうので、欠陥に気付いても売り主や建築会社が対応してくれない場合には、早急に専門家に相談することが大切です。
新築して間もないうちに、この様な隙間を見つけるとつい欠陥住宅と疑いたくなってしまうが、重大な問題があるとは限らないので冷静に行動することが大切。