住まいに欠陥や不具合が見つかった場合の対応方法

古民家を改修したカフェや雑貨店、居酒屋などがテレビ番組等で度々紹介されています。外国人観光客を対象に、古民家にロングステイできる施設も検討されている様です。
日本の伝統的な住文化が、様々な人達に伝わっていく事は非常に良い事だと思います。
建築の専門家の中にも、「耐震性の低い古民家などは解体してしまうべきだ。」との意見もある様ですが、耐震性の低いものを、後世に伝えるために様々な工夫をする事も建築技術者の役割だと思います。

さて、欠陥住宅を予防するためには、業者選びが重要な事は何度もお伝えしました。
しかし、同じ住宅会社で建てた住宅でも、工業製品ではないので、品質には多少バラツキがあるものです。工事を行う職人と現場を管理する現場監督によっては、住宅の出来栄えが大きく変わってしまう事もあります。特に木造在来工法の住宅では、品質のバラツキが表れ易い様に思います。

また、住宅は現場で職人が手作業で建てるものです。
どんなに優秀な住宅会社や職人に依頼しても、残念ながら全てが完璧という事はないはずです。
建築の専門家が詳しく調査すれば、どんな住宅でも小さな不具合のひとつやふたつはあるものです。

新築やリフォームして間もない住まいで不具合が見つかったとしたら、不安になる事と思います。
あわてて施工会社に連絡をしても、満足のいく対応が得られないと、やがて不安から怒りに変わり、思わず「欠陥住宅だ!」と騒ぎ立てたくなる気持ちは十分に理解できます。
しかし、欠陥住宅とは、建築基準法等の法令を満たしていない住宅、設計図とおりに施工されていない住宅、通常の居住に支障を来たす住宅等を指すものであって、不具合のある住宅を全て欠陥住宅と呼ぶ訳ではありません。
また、中古住宅が現在の建築基準法を満たしていなくても、欠陥住宅とはいえません。
きちんと修理を行えば問題のない不具合であれば、必要以上に施工会社と争って、関係を壊してしまうのは賢明ではありません。関係が拗れると、施工会社が今後親身に修理に応じてくれる事はなくなってしまいます。
たまにブログ等に匿名で住宅会社を誹謗中傷するのを見かけますが、その様な関係になってしまったら、もはや関係修復はできません。

第3者の建物調査会社に調査を依頼すると、ほかにも細かな不具合を数多く指摘して「欠陥住宅」と煽り立てた末に、裁判を奨められる事もあるといいます。
しかし、裁判には思った以上の費用がかかり、判決までの期間も決して短いものではありません。
鑑定書作成も自分ではできないので、調査会社に依頼すると、高額な費用を請求されるはずです。
また、たとえ勝訴判決になったとしても、専門家の調査費用や鑑定書作成代、弁護士費用などを差し引くと、残りの損害賠償額で不具合を修理できるとは限りません。相手に支払い能力がないと、賠償金自体が支払ってもらえない可能性もあります。
そして我が国の建築裁判では、明らかな違法建築でない限り、個人が企業に勝訴するのは非常に難しいと言われている事を忘れてはいけません。

欠陥住宅は裁判で解決できない!

この様に、第3者に裁判を奨められたとしても、私は個人的にお奨めできません。もちろん、相手が何を言っても対応してくれない、相手に逃げられた、相手の方から裁判を持ち掛けられたなどの場合は、裁判を提訴するしかないのですが、裁判するのはあくまで最終手段で、相応の覚悟が必要です。
弊社の建物診断は、訴訟する事を目的とするものではありません。
調査の結果、万一重大な欠陥が見つかったとしても、まずはなるべく裁判をしないで解決できる方法を模索するべきです。
実際に私も33年間住宅会社に勤務してきましたが、私の身の回りでは訴訟問題になった事は一度もありませんでした。

建物を詳しく調査し、欠陥や不具合の是正方法を施工会社と粘り強く話し合って、お互いが納得できる施工方法を見出す事が大切だと思います。決して賠償金を請求する事が本来の目的ではないはずです。

不幸にもこの様な場面に遭遇してしまった際には、施工会社と争いになる前に、まずお問い合わせください。どのように対処したら良いか最善の方法を共に考えさせていただきます。

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