外壁の通気層とモルタル壁のクラック

近年の新築木造住宅の外壁は、そのほとんどが通気層のあるサイディング(工場で生産された外壁材)仕上げを採用しています。
通気層があると、万一外壁から雨漏りしたり壁の内部で結露が発生した場合でも、通気層により湿気を外部に排出することができます。
建物の耐久性は通気層によって飛躍的に向上したといえます。

しかし古い建物では、外壁がサイディング貼りの場合でも、通気層のない直貼り工法で施工されていることが珍しくありません。
通気層がなければ外壁のひび割れなどから侵入した雨水は排出されずに滞留し、アスファルトフェルトや透湿防水シートをとめるタッカーの穴などから室内に侵入してしまう可能性もあります。

一方、現在は少なくなったとはいえ、外壁モルタルなどの左官仕上げも一部の人からは根強い人気があります。
サイディングにはない表情や風合いなどが人気の秘訣です。
外壁を左官仕上げにする場合でも通気工法にすることは可能ですが、今やサイディングでは当たり前となった通気層の施工を左官仕上げの場合には省略してしまう住宅会社もあります。
通気層がなくても一般の方にはわかりません。
仕上がってしまえば外観はほとんど同じに見えます。
事前にそのような説明もなく、建築会社の勝手な判断で通気層なしで施工されてしまう場合も多いので、十分に注意したいものです。

通気層の施工を省略してしまう理由は、コストの問題です。
コストを重視する建売住宅やローコスト住宅では、通気工法を採用しないこともあるのです。
コスト削減で得られるメリットよりも、住宅の耐久性が低下するデメリットの方がはるかに高いと思います。

外壁のひび割れの問題点

また、ホームインスペクションを行っていると、モルタル壁のひび割れをよく目にします。
水を使用するモルタルなどの湿式材料では、乾燥収縮によるひび割れは避けられません。
たとえ不同沈下などの大きな欠陥がない場合でも、微小なひび割れがところどころに生じるのは仕方のないことなのです。
(ただし、クラック追随性の高い収縮性のある弾性塗料を採用することで、ひび割れが表面に発生しにくくすることは可能です。)

しかしあまりにもひび割れの幅が広い場合や、数が多い場合には、建物に何らかの欠陥がある可能性があります。
また突貫工事のために、適正な乾燥期間を置かずに仕上げてしまった可能性もあるので、ほかに目立つ欠陥や不具合が生じていないかどうかを注意深く調査するようにしています。

実際に私がこの業界に入った30年程前には、工期1か月以内で建売住宅を建ててしまうという話を良く耳にしました。
このころの住宅には当然通気層もないので、ひび割れから雨水が侵入すれば中の木材の腐食や室内への雨漏りのリスクが極めて高くなります。
また、近い将来に外壁モルタルが剥離して落下してしまうようなことにもなりかねません。
こうなると部分的な補修では済まずに、外壁をすべて剥がしてやり替える大がかりな工事になることが多いので、ひび割れは軽視できません。
(私がリフォーム会社に在籍していた当時は、このような工事を多数行っています。)
乾燥収縮による微細なひび割れまで気になるようなら、外壁が左官仕上げの物件には手を出さない方が良いと思いますが、ひび割れの種類と数を良く見極めて判断する必要があります。
自分で判断できない様ならぜひ専門家に声を掛けて、診断してもらうとよいでしょう。

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外壁通気工法の例

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