近年、屋内の給水給湯配管工事には欠かせなくなった架橋ポリエチレン管。
いわゆる樹脂管です。
架橋ポリエチレン管
施工性の良さと漏水リスクが低いことから、ここ10年の間にあっという間に普及して、今や新築、リフォームを問わずに給水給湯管といえば架橋ポリエチレン管を指す様になりました。
面倒だった接着剤による接合やロウ付けを行う必要がなく、切って差し込むだけの簡単さで、柔軟性、耐熱性、耐食性にも優れているので、給水管にも給湯管にも使用することができます。
また、ヘッダー工法だけでなく、従来からの配管方式である先分岐工法にも使用できるので、リフォーム現場でも近年ではほとんどの現場で使用されています。
配管自体が曲がるため、従来の配管の様にエルボが不要で、特別な技術がなくても配管できるのがメリットですが、時々施工不良を見かけるので注意が必要です。
良く見かける架橋ポリエチレン管の配管不良例
架橋ポリエチレン管の施工に関しては、施工マニュアルに注意点などが詳しく記載されているので、マニュアルに沿って正しく施工する必要があります。
1、最小曲げ箇所数と曲げ半径
配管長さは15m以下が目安で、曲げ角度90度以上、曲げ箇所数5箇所以下。
その他、配管径によって曲げ半径の目安が指示されているので、それに則って施工する必要があります。
2、配管の固定
架橋ポリエチレン管をスラブ上にころがし配管する場合には、マニュアル通りに支持固定を行う必要が
あります。
支持間隔は直線部1,000mm(1m)以内、曲がり部300mm以内(曲がり部の起点と終点)
支持間隔が広くなると、配管に横揺れや浮き上がりが生じ、配管内での水撃による音鳴りや振動による
騒音が発生する恐れがあります。
3、防火区画貫通部の措置
架橋ポリエチレン管は可燃性があるので、防火区画等を貫通する際には、国土交通省の認定を受け、一定
の延焼防止性能(1時間耐火)を持った貫通部措置を行う必要があります。
※フィブロック、耐火シート(メッシュ付)、タイカブラック・パテエースなど
マンションリフォーム現場で、パイプシャフトを貫通する配管を行う場合は要注意です。
上記の不具合は、いずれも戸建て住宅よりもマンションリフォーム現場で良く見かけます。
マンションリフォーム業者の中には、この様な検査を一切行わない業者が多いので、水回りのリフォームなどを行う場合には、特に注意が必要です。
マンションリフォーム現場の架橋ポリエチレン管による配管
配管の支持固定間隔や曲げ半径、曲げ箇所数など、施工マニュアルに則って施工することが大切です