コンクリートの欠陥事例

テレビの欠陥住宅番組などで、コンクリートに木片などの異物が混入していた事例がたびたび紹介されています。
手抜き工事というよりも、コンクリートを打ち込む前の型枠の中に、誤って木片などを落としてしまった可能性が高いと思います。
木造住宅の基礎の型枠と違って、鉄筋コンクリート造建築物の壁の型枠の中に誤って木片などを落としてしまうと、簡単には取り出せません。
どうしても届かない場合は、一度型枠をばらすしかなく、通常はコンクリートを打ち終わった後に斫り取ってエポキシ樹脂モルタル等で補修します。
私が現場監督をしていた頃、コンクリート打設前の点検で木片を見つけた時は、マジックハンドの様なものを使って苦労して拾った経験があります。
これによって建物全体の強度が著しく低下するという事はないと思うのですが、異物が混入していたら手抜き工事と言われてしまうのは間違いありません。
今年2月に台湾南部で発生した地震で倒壊した高層住宅の柱のコンクリートの中から、大量の一斗缶が発見されて大きな話題になりましたが、あれはどう見ても明らかに故意でしょう。国内でも古い建物では、同様の事があるかもしれません。

手抜き工事によるコンクリートの欠陥とは?

また、最近では見られなくなりましたが、古い木造住宅の基礎の中には、たばこの吸い殻が混入している事も珍しくありません。
この場合は、誤ってというよりも投げ捨てです。型枠の中に投げ捨てられるのは、たばこの吸い殻だけではありません。空き缶などが入っている事もありました。一昔前の建築現場には、マナーの悪い職人がたくさんいたのです。

他にコンクリートの欠陥事例でたびたび紹介されるのが、露出鉄筋です。コンクリート表面などに鉄筋が露出しているものですが、これは明らかに手抜き工事と言って良いでしょう。
初期のコンクリートはアルカリ性で、中の鉄筋が錆びるのを防いでいます。そのため「かぶり厚さ」といって、コンクリートの表面から鉄筋までの距離を確保する事が義務付けられています。かぶり厚さ確保のために、スペーサーを装着するのですが、何らかの理由でスペーサーを外してしまうとこの様な欠陥が生じてしまうのです。

またコンクリート工事では、シャブコンの問題が指摘される事があります。シャブコンとは、水で薄められたコンクリートの事で、手抜き工事の代表的なものです。コンクリートを水で薄めると流動性が高くなるため、コンクリートの打設が楽に行える様になって、型枠内にきれいに流れ込むので、コンクリートの表面がきれいに仕上がって見えます。しかし、強度が著しく低下してしまうので、重大な欠陥に繋がります。

逆に、コンクリートの流動性が低い事から生じる欠陥がジャンカ(豆板、空洞、巣などの欠陥の総称)です。コンクリートの打ち込み速度不良や、締固め不良、型枠の隙間などが原因で発生します。空隙ができているので、当然強度が下がり、脆くなります。

以上は施工する際に生じる欠陥ですが、コンクリートの劣化事象としてはエフロレッセンス(白華現象)やひび割れ等があります。一定の年月が経過すれば、ある程度の劣化はやむを得ないのですが、適切なメンテナンスを行う事で劣化を抑える事は可能です。
特にひび割れを長い間放置しておくと、内部に雨水が侵入して鉄筋が錆び、コンクリートの爆裂が起きるので要注意です。

この様に、コンクリート工事だけでも欠陥の種類がたくさんあります。全部が全部重大な欠陥とは限りませんが、これらの欠陥を見つけたら、次にどの様な対応をするかが重要です。施工会社に説明を求めて納得のいく回答が得られなければ、早めに第三者の専門家に相談した方が良いと思います。

台湾の倒壊した建物の柱の中の一斗缶(上)と基礎のジャンカ(下)

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