マンションリフォーム現場の欠陥調査

先日、マンションリフォームの完成現場の不具合調査に行ってきました。
完成して僅か1か月もたたないうちから不具合が続出し、リフォーム会社に是正工事を要求して1年近く経過しても、いっこうに補修工事に応じてもらえないとのことで、第三者に見て欲しいとの依頼でした。
工事内容はほぼ全面リフォームで、工事代金は500万円を大きく超えるものでした。

不具合の内容はドアを開閉すると壁が振動する、床鳴りがする、キッチンとフローリングの間に隙間がある、建具の開閉不良など、生活する上にも支障をきたす内容です。
調べてみると、壁の強度不足(間柱の間隔が広い、建具廻りの開口補強が不十分)、建具が捻じれて取り付けられている、床が水平でない、キッチンが水平に設置されていない、トイレの排水が逆勾配など明らかな施工不良がありました。
他にもフローリング貼りの際、メーカーの施工要領書通りに接着剤が使用されていない疑いがありました。

調べたところ、施工したリフォーム会社には建設業の許可がありません。
施主は以前から社長と面識があったのでリフォームを依頼したそうですが、この社長はリフォーム会社で数年間営業を経験しただけで独立した様で、建築の資格を所有していません。(他の数人の社員にも建築の資格を持った人はいない様です。)
施主には非常に気の毒な話ですが、今回の結果はなるべくしてなったと言えなくもありません。

一向に改善しないリフォーム業界の悪しき体質とは?

何度もお話した様に、現在この様なリフォーム業者が稀に存在しています。
リフォームの仕事は対象となる建物の構造や仕様、経年劣化の状態などが1軒1軒異なるため、ある面では新築工事以上に難しい仕事です。
この程度の経験で職人に指導などできるはずもなく、建築をなめているとしか思えません。
建設業の許可があっても必ずしも安心とはいえませんが、最初から無許可業者と知っていて工事を依頼する人は皆無でしょう。
ほとんどの方はリフォーム会社なら建設業の許可を持っていて当たり前と思っているので、許可がなくても黙っていればわかりません。

建設業法上では500万円未満の工事には建設業の許可は不要となっていますが、リフォーム会社を名乗って元請として仕事をする限り、少なくとも建築の有資格者の在籍は最低条件でしょう。
医師免許を持たない医者はほとんど存在しないと思いますが、建築の有資格者(建築士、建築施工管理技士等)がいないリフォーム会社は意外とたくさんあります。
無許可で500万円以上のリフォーム工事を請け負った場合には建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金などに処される立派な犯罪行為です。
また、無許可の下請業者に発注した元請業者にも営業停止などの罰則があるので、近年では500万円未満の軽微な工事の下請契約を結ぶ際にまで建設業許可を必須条件にしている元請業者が増えています。

医者から診察を受ける際にわざわざ医師免許を確認する人はいなくても、規模の大きなリフォームを行う際には建設業の許可の確認は不可欠です。
ホームページには請負金額が500万円を超える施工例を掲載しているのに、建設業の許可番号が掲載されていないリフォーム会社はほぼ怪しい業者と思って間違いありません。

私は業者選択は最終的には自己責任だと思っています。
後で後悔しても手遅れなので、業者選定はくれぐれも慎重に行って欲しいと思います。

一方、リフォーム業界はクレーム産業といわれて久しいのが現状です。
一部の心無い業者によって、業界全体のイメージが損なわれてしまうのは非常に残念です。
リフォーム業界が顧客から信用を取り戻すためには、業界を上げてこうした不正行為をなくしていく努力が必要だと思います。

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※写真と本文の現場は関係ありません。

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