住宅会社の差別化戦略

昨日、ついにイチロー選手がメジャー史上30人目の通算3000本安打を達成しました。
「メジャーリーグで日本人野手が通用する可能性は低い」と言われていた中での大記録達成は、多くの日本人に夢を与えたと思います。
「3000という数字よりも、僕が何かをすることで、僕以外の人たちが喜んでくれることが何よりも大事であるかを改めて認識した瞬間でした」とイチロー選手らしい言葉を残しましたが、ここ数日間のプレッシャーは常人には理解できないものだったと思います。

イチロー選手の思い出で忘れる事ができないのは、当時西武に入団したばかりの松坂投手との初対決。結果はいきなりの3打席連続三振だったと思いますが、間違いなく日本プロ野球史上歴史に残る名勝負として今も忘れる事ができません。

さて、これからの住宅業界の中では、生き残りを掛けて、他社と明確に差別化できる住宅を建てる事が求められると思います。
徹底的にコスト削減を追求したローコスト住宅は、ひとつの明確な差別化になりますが、商品企画や設計・施工によって差別化するのは、次第に難しくなっていくのではないでしょうか。
もちろん、高品質・高性能を追求して、設計精度や施工精度を高める事は不可欠ですが、着工件数が減少していく中では、高品質な住宅を供給できない会社は、自然淘汰されてしまうはずです。
残った会社の住宅は、どこもそれなりの品質を確保していると思われるので、その中で差別化を図るのは容易ではありません。
また、デザインや住宅性能などは、真似する事も可能なので、有効な決め手にはならないでしょう。
ほんの一部の有能な建築士が設計する家でもない限り、住宅のデザインなどはどこも似たり寄ったりです。

これからの住宅会社の使命は?

そんな中で、差別化の一つの手段として、「日本本来の家づくりの良さを見直そう」とする傾向が目立って来た様に思います。
国産材の良さを見直して、地元の木を使って家を建てたり、木材加工は全てハンドプレカット(手刻み)にこだわったり、自然素材にこだわった家づくりを目指す住宅会社が増えています。
つい30年程前までは、住宅で使用される木材は手刻みが主流で、大工の腕の良し悪しは、手刻みの出来栄えで判断する事ができました。
最近はほとんど工場加工なので、住宅会社による品質の差はほとんどなく、今では、大工の墨付けや手刻みの仕事を見た事もない建築士や現場監督が住宅を建てています。

日本古来の伝統的な住宅でも、最新の機能や住宅設備を取り入れれば、性能的にも機能的にも全く問題ありません。
こうした会社では、大工の育成や賃金体系の見直し、下小屋(木材加工場)の環境整備、地元製材所との協力体制の構築、お客様参加型の家づくりなどを積極的に推進して、地域との連携や、林業などの地場産業の活性化にも大きく貢献しています。
また、雇用の創出や住文化の継承にも繋がり、単なる住宅会社の枠を超えた存在価値があります。
この様な家づくりは、他の会社が真似しようとしても、簡単には真似できるものではありません。

これからの住宅会社は、作業効率アップや合理化のみを求めるのではなく、我が国の住文化や建築技術を次世代に継承していく事や、地域貢献にも目を向けていく必要があると思います。

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