最近、都市部を中心に人気の高い「軒ゼロ住宅」。
これまで様々なリスクをお伝えしてきました。
そしてこんなDVDが発売されました。
http://nkbp.jp/2C9OqxN
「実践 雨漏りを防ぐ」~軒ゼロ全盛時代を生き抜くノウハウ~
日経ホームビルダー編
雨漏りゼロの実現を目指す住宅会社が、危ない設計案や施工ミスなどを防ぐための工夫や納まり、施工手順などをDVDの中で解説している様です。
本来なら自社の企業秘密にしたくなるような様々なノウハウを、この様に広く公開しているのは、本気で住宅の雨漏りをなくしたいという気持ちの表われでしょうか。
施工会社向けに販売されているものですが、防水施工のチェックリストとしても活用できそうです。
ホームインスペクターが負うリスクとは?
さて、私たちホームインスペクターが住宅診断を行う上で、最も大きなリスクは「診断ミス」です。
たとえば中古住宅購入前の住宅診断で、「シロアリ被害や雨漏り跡を見逃した事が原因で、物件の引き渡し後に買主から修理費を請求される」、「問題なしと報告を行った物件で、後日重大な問題が発見され、責任を追求される」などです。
ホームインスペクションは、主に目視を中心とした非破壊による一次診断なので、報告内容には限界があります。
健康診断ですべての病気が見つかるわけではないのと同様に、ホームインスペクションですべての不具合が発見されるわけではありません。
調査時間や調査費用にも限度があるので、診断者には常にリスクがあるのです。
弊社が行ったインスペクションでこれまでにこのような事故やトラブルが起きた事は皆無ですが、リスクがある以上「この先も絶対に起きない」とはいいきれません。
一方、4月の宅建業法改正にともない、新たにインスペクターとしてデビューする人は相当な数になると思います。
実際に弊社がある千葉県内のホームインスペクション会社の数はここ半年間で急増していて、中には格安な調査料金を掲げているところもあります。
しかし料金を安くする事で調査が疎かになり、見落としがあっては意味がありません。
またインスペクションは、単に劣化事象の有無を報告するだけではなく、その後のアフターフォローも重要です。
長く新築の仕事に携わってきた建築士でも、1軒ごとに状態が異なる住宅の劣化状況を見極めて報告するのは簡単ではありません。
少しずつ根付いてきたホームインスペクションの信頼が失われる事のない様、万一の見落としに備えて今後は住宅検査にも保険加入が必須になると思います。
現在、2団体がインスペクション「見落とし保険」を提供していますが、業務内容に応じてより保険内容の多様化やサービスメニューの充実が不可欠になるでしょう。