建築年代別の耐震性能

WBC日本代表が昨日のオーストラリア戦に勝利し、1次ラウンド突破に向けて大きく前進しました。
一方、第1回、第2回大会で日本と優勝を争い、過去の対戦成績でも4勝4敗と拮抗していた韓国が1次リーグで敗退してしまったのは、非常に残念でした。日本にはアジア代表として韓国、台湾の分も頑張って欲しいと思います。

さて、建築物の構造や仕様、安全性などを定めた建築基準法は、昭和25年に制定されました。
その後大きな地震を何度も経験し、その教訓を元に改定を重ねてきたのが現在の建築基準法です。
外観からはほとんど変わらない築10年の住宅と築20年の住宅でも、耐震性に違いがあります。

築年数の経過した建物のホームインスペクションでは、耐震強度上必要な筋違いの量や柱や筋違いの緊結方法などが現行の基準に合わない事が普通です。
古い建物では筋違いや柱は、釘やカスガイなどの簡単な金物で固定するのが普通で、筋違いプレートや山形プレートが使われ始めたのは昭和54年頃からです。
同様に基礎に鉄筋を入れる様になったのも昭和54年位だった様です。

昭和53年の宮城県沖地震後に、耐震設計基準が見直され、昭和56年に新耐震設計基準となって壁量規定が改定されましたが、金物の規定は特にありませんでした。
よって昭和54年頃から平成の初期までは、柱や筋違いの接合金物は法律では明記されず、公庫融資を利用する建物だけ金物の使用が要求されていました。通し柱のみにホールダウン金物が使われ始めたのも恐らくこのあたりからだったと思います。
この間に建てられた建物には、公庫仕様で建てられたものとそうでないものが混在していて、接合金物が使用されていなくても違法ではありません。(ただし、耐震強度は低いので、耐震診断・耐震補強が必要です。)

そして平成12年になって平成7年に発生した阪神・淡路大震災の教訓を反映し、はじめて継手・仕口の金物が必須となりました。この年代以降で、金物が使用されていなければ違法になります。
また同時に地盤調査が事実上義務化になり、耐力壁配置にバランス計算が必要になりました。
よって同じ新耐震基準と呼ばれるものの中でも、建物全体の強さや、柱と土台や筋違い、あるいは柱と梁の接合部分の強さは、平成12年の法改正を境として異なります。

この様に、現行の基準をもとに古い建物を評価したら、ほとんど全ての建物が現行の基準を満たさない事になってしまいます。
ホームインスペクションで報告を行う際には、建築年代別による仕様や傾向を考慮した上で、報告を行う様に心がけています。

20060724125923[1]

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