中古住宅の耐震性能

中古住宅の評価の仕組みが変わろうとしています。
「現実の築年数」を無視し、「事実上の築年数」で評価しようとするものです。
中古住宅を購入した場合でも、最低年に1度建物を点検し、雨漏りや水漏れ、構造躯体の異常などの早期発見・対応によって高い評価を維持する事が可能になります。

中古住宅を選ぶ基準は人それぞれだと思いますが、築年数が古い物件は価格が安い分、安全性や居住性などの住宅性能が低くなるのは仕方のない事でしょう。
建てた当時は建築基準法を満たしていても、現在の基準を満たしていない場合もあります。
安全性や居住性を高めるためには、修繕や補強、設備更新などの費用がかかります。

地震大国の我が国においては、特に重要なのが耐震性の確保です。
我が国の建築基準法は、大地震が起こるたびに耐震基準が改正されてきた事はこれまでも繰り返しお伝えしてきました。
中でも1981年(昭和56年)6月に大きな改正があり、壁量規定の見直し等が行われ、これ以降に建築確認申請が行われた物件を新耐震(基準)、それ以前を旧耐震(基準)と呼び、新耐震基準で建てられた住宅は一応安全といわれてきました。

しかし、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が調査した木造在来2階建て以下の住宅では、旧耐震基準住宅の約97%、新耐震基準住宅でも約84%が現行基準に達していないといいます。

耐震補強工事にはいくらかかるのか?

木造住宅の耐震性については、2000年(平成12年)6月にも改正されていて、地盤調査の事実上義務化、構造材の継手・仕口の仕様や筋違い端部、柱頭・柱脚金物の仕様の特定、耐力壁配置のバランス計算などが追加されました。
我々専門家の間では、この基準に沿って建てられた物件を一応安全なものとして新耐震基準と呼ぶ事もあります。

しかし実際には、施工者がこの法改正を知らずに以前の基準のまま建てているケースも多く、実際にこの年代の住宅のホームインスペクションを行うと、既定通りの筋違い金物や柱頭・柱脚金物が使用されていないものも時々見かけます。
よって、法改正3年後程度までに建てられた住宅を購入する際には、ホームインスペクションを行っておいた方が良いでしょう。
さらに先の熊本地震後には、壁の直下率の検討や耐震等級3(建築基準法の1.5倍の耐震強度)の推奨など安全性の強化が求められており、2000年6月の改正事項は今や最低限の必須項目です。

また、木耐協の「木造住宅の耐震性に関する調査データ」(2016年8月発表)によると、耐震補強工事費用の目安は、1980年以前の旧耐震基準の建物で約182万円、1981年以降の新耐震基準建物で約148万円になっています。
築古の木造住宅を購入するのであれば、耐震補強工事の予算をみておいた方が安心できるでしょう。
せっかく手に入れた住宅が地震で倒壊してしまったら、「家は財産でなく借金」になってしまいます。

耐震補強工事にはお金はかかりますが、市区町村の補助金や減税措置、融資制度などを上手に利用すれば、最小限の負担で安心・安全を手に入れる事ができるので、リフォーム会社などに相談してみるとよいでしょう。

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筋違いの新設による耐震補強例

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