建物を長持ちさせるためには、維持保全計画をしっかりと立て、定期的に修繕工事を行う事が必要なのですが、日常において自分でできる事も少なくありません。
ホームインスペクションを行っていると、下記の様な残念なケースを目にする事があります。
ひとつずつご確認いただき、ご自身の建物のチェックをしてみるとよいでしょう。
建物を長持ちさせる為に注意すると良い点
まずは建物の外回りから。外壁や屋根面に緑色のコケや黒いカビが付着していませんか。
特に日当たりの良くない北面の壁を良く見てください。コケやカビが発生している場合、ホームセンターで販売しているカビとり剤や内外装専用の洗浄剤を使用して自分で落とす事もできます。(ただし危険な場合は決して無理をしないでください)
この時注意したいのは、金属タワシやワイヤーブラシなどの固いもので擦らない事。建物表面の塗装を痛めてしまうので、柔らかいブラシやスポンジ等で丁寧に洗い落としてください。
また、近くに背の高い植栽やプランターなどがあると日当たりや風通しが悪くなるため、コケやカビが繁殖しやすくなります。できるだけ取り除く様にしてください。
そしてたまに見るのが外壁面にツタが生えているケース。長年空き家となっていた住宅で見かける事が多いのですが、これもこのまま放置しておくと建物の目地やクラックに入り込んで雨漏れの原因になるので、早めに取り除く必要があります。
次に基礎周辺に注目です。基礎には床下換気のための換気口があるのですが、基礎換気口をものや植木でふさいでしまっているケースをよく見かけます。これでは床下の換気が十分に行われず、床下は湿気の多い状態になってしまいます。
その結果カビや白蟻が発生しやすくなってしまうのです。建物の耐久性に深く関わる部分なので、換気口周辺には物を置かない様にしてください。
また、基礎周辺の地面の上に材木や木っ端を放置しておくのも止めましょう。
一時期ガーデニングで古木を使用するのが流行になりましたが、建物近くで使うのはあまりお奨めできません。
白蟻の通り道になってしまい、建物内部に白蟻が侵入しやすくなります。
最後に時々バルコニーの排水溝やドレイン(排水口)、雨樋を点検しましょう。ここに土や木の葉が詰まっていると、雨排水がスムーズに流れなくなって雨漏れの原因になります。特にバルコニーでガーデニングをしていたり、近くに木が多い場合は要注意です。小まめに掃除してください。雨どいの詰まり予防には、落ち葉よけの防護ネットを取り付ける方法もあります。
万一バルコニーの上裏(バルコニーを下から見た時の天井面)や軒天に水染みを発見した時は雨漏れが疑われます。例え部屋の中に雨漏れが発生していなくても、そのまま放置すれば構造躯体が腐食して危険な状態になってしまう可能性があります。早めに専門家に見てもらってください。
以上の様な事はインスペクションを行っていると良く見かけるケースです。気が付いた時にはアドバイスをさせていただいていますが、皆さん特に意識していなかった事が多い様です。外壁に明らかな隙間や穴が開いている場合は皆さん気にされている様子なのですが、ほんの少しの事で建物の耐久性が大きく変わる事もあるので、注意して欲しいと思います。