東日本大震災に伴う福島第一原発の事故によって、わが国のエネルギーを取り巻く状況は一変しました。
住宅業界でも、太陽光発電、HEMS、蓄電池の3点セットを導入し、創エネと蓄エネを連携させてより効率的なエネルギーマネジメントを目的とするスマートハウスへの注目度が高まりました。
また、住宅単体のみではなく、複数の住宅が集合した街全体をスマート化したスマートタウンへの取り組みも、大手ハウスメーカーを中心に行われています。
そして近年では、住宅をエネルギーを消費する場からエネルギーを作り出す場とするための動きもあります。
街全体に創エネ機器を導入し、ゼロエネタウン化を図ろうとする動きは、すでに積水ハウスやパナホームなどで具体化していて、将来的には住まいが発電所としての機能を持つ様になるかもしれません。
創エネ機器を備えた住宅が標準仕様となる日も近いでしょう。
一方、エネルギーの自給自足を実現するためには、より大容量の蓄電池が必要になります。どんなに大量の太陽光発電を導入しても夜間になれば電力が不足してしまうので、発電した電力を蓄電池に蓄え、それを夜間に使用できればエネルギー自立型の住宅が実現できます。
そして、住宅と自動車の関係もより近いものになりそうです。
電気自動車(EV)やプラグインハイブリット(PHV)の充電を家庭で行える様になるばかりでなく、EVなどに搭載した蓄電池から住宅に電気を供給する仕組みも既に実用化されています。
今後住宅業界と家電業界、自動車業界はより密接な関係になっていきそうです。
さらに分譲マンションの分野では、電力の需給状況などに応じて、需要側の電力使用状況を制御する「デマンドレスポンス」もすでに実用化されています。広く普及すれば、電力のピークカットに大きく貢献する事が期待されています。
また、高圧一括受電システムを導入する分譲マンションも増えているといいます。
電力会社から一括して電力を購入し、それを受変電設備を経て各住戸に販売することで電力単価が安くなり、エネルギーコストの削減につながります。
これからの住宅業界は・・・?
このように東日本大震災以降、住宅においてもエネルギー問題は欠かせない問題となっています。住宅にも様々なシステムが既に導入されていますが、ほとんどが大手ハウスメーカーや大手デベロッパー主導です。
中堅ハウスメーカーや地場の住宅会社も、時代の流れに取り残されない様にすると共に、大手に真似のできない特色を持つ事が益々求められる様になるでしょう。