日本の女子レスリングが強いですね。一日に金メダルを3個獲得!朝から元気を貰えました。
連日のリオ五輪の熱戦につい夢中になってしまい、日本中で寝不足気味の方が多いのではないでしょうか。
今回の五輪では、様々な競技で日本人選手の活躍が目立ち、今までマイナーだった競技も多くの人の注目を浴びている様に思います。少し気が早いですが、東京オリンピックに向けて更に期待が高まりそうです。
一方、華やかな舞台裏では、選手の車上強盗被害や暴行被害、コーチの交通事故死、観客の負傷事故なども報道されています。大会も残り少なくなりましたが、犯罪や事故で水を差す様な事にならない事を願いたいと思います。
さて、建物に不具合が発生すると、工事を請け負った建築会社には、不具合を是正する義務があります。特に雨漏りや水漏れ等の重大な不具合の場合は、その原因を究明して、適切な処置を迅速に行う必要があります。
しかし、工事が完成してしまうと、欠陥箇所を探すのは非常に困難で、原因究明に思いのほか時間がかかってしまう事があるのです。
例えばこんな事がありました。
私が建築会社に勤務していた頃の話です。
私の会社で、新築鉄骨造のビル(1階がテナント、2階から最上階までが賃貸住宅。新築工事を行ったのは他の会社。)1階のテナント工事を請け負う事になりました。
知人である女性デザイナーが設計した美容室の新装工事です。他にあまり例のない斬新なデザインの美容室でした。
工事中は特に大きな問題もなく、無事オープンを迎える事ができました。
ところが、完成して3か月程たった頃、突然オーナー様から「店舗の床に水たまりがある」との連絡を受けて、急いで現地に行くと、店の真ん中付近の床がびしょびしょになっていました。完全な床上浸水状態です。雨漏れする様な場所ではなかったので、最初に床下配管の漏水が疑われました。水浸しになっていたのが、ちょうどシャンプー台の配管が密集している場所に近かったためです。しかし修理するにも配管は床下のコンクリートに埋設されていて、簡単にはいきません。日を改めて工事を行う事になりました。もちろん工事期間中、店は臨時休業しなければならないため、営業保証金も負担する事になりました。
ところが床のコンクリートを解体し、配管の点検を行ったところ、漏水しているような箇所は見当たりません。とりあえず全ての配管工事をやり直し、営業を再開する事になりました。
しばらく何事もなくて安心していたのも束の間、2か月ほどたった頃に、再度床が水浸しになっているとの連絡がありました。
前回工事を行った部分とは別の場所に原因があるのはほぼ間違いなく、新築工事の竣工図を確認してみると、店舗の土間に建物全体の雨水管が1本埋設されている事がわかりました。再び店を休業してもらい、床を一部解体し、新築工事を請け負った建設会社の担当者立ち合いのもとで、雨水管の点検を行いましたが、特に異常は確認できませんでした。結局原因究明はできずに、時間切れでまたもや作業終了となってしまいました。
建築現場では、ちょっとしたミスが重大な欠陥になる!
更に3か月ほどして、3度目の連絡がありました。今度は、丁度前日に台風による大雨が降った事もあり、雨との因果関係がある事を確信しました。原因は外部からの雨水の侵入と推測し、重機を入れて建物の周囲を掘り起こしました。
そして、ようやく原因を突き止める事ができたのです。
原因は新築工事にありました。1階テナントの床下に、使われていない配管があり、地中梁を貫通して外部に抜けていたのですが、配管の先端は切りっ放しの状態で、かつ地中梁貫通部にも、配管の廻りに大きな隙間が空いていたのです。大雨が降ると、この配管を伝わって大量の水が店の土間下に流れ込んできていた様でした。
途中で設計変更になり、不要となった配管を、撤去しないでそのまま放置してしまった様です。
この様に、ある一定の条件が揃わないと発生しない不具合の場合、原因追求が極めて難しい場合があります。
このケースでは、原因究明するまでに、最初の連絡を受けてから既に8か月以上が過ぎていました。手直しにかかった費用も、調査費用や営業保証金等も含めると、既にテナント工事の請負金額を大きく超えていました。(幸いにも交渉の結果、新築工事を請け負った建設会社が責任を認めて全額負担してくれる事になりましたが、非常に大きな代償です。)
そして、美容室のオーナー様にも多大なるご迷惑をかけてしまいました。
建築現場ではほんの些細なミスから、重大な問題が生じてしまう事があります。そしてその解決にも多くの時間と労力がかかります。
私は約30年間の建築会社経験で、この様なケースをたくさん見てきました。住宅を入手しようとする方にとって、欠陥住宅問題は決して他人事ではないという事を知って欲しいと思います。