先月の下旬にリフォーム工事の不具合調査を3件行いました。
最近この様なリフォーム工事の不具合に関する調査依頼が急増しています。
実際に調査を行ってみると、そのほとんどが施工不良や手抜き工事が疑われるものですが、実際に仕上がったものを非破壊でそれと断定するのは非常に難しくなるケースがあります。
また明らかに施工不良と思われるものであっても、施工業者が素直に認めてくれるとは限りません。
今回調査を行ったうちの1件は、施工業者が不具合を認めて無償で手直しに応じてもらえそうですが、こうしたケースは稀なケースで多くが問題解決までに時間がかかってしまいます。
なかなか解消されないリフォーム業界の課題
2010年、国土交通省は新成長戦略の一環として中古住宅流通市場の活性化を推進し、その結果として2020年までの10年間に当時6兆円だったリフォーム市場規模を12兆円規模にするという目標を掲げました。
今年10年めを迎えますが、コロナウイルス感染拡大の影響があるとはいえ、到底その目標に届きそうにありません。
因みに2018年の実績は6.2兆円、2019年の実績は6.5兆円でした。
倍増どころかほぼ横ばいといった状況で、このままいくと10年後の2030年にも7兆円に届きそうにありません。
しかしリフォーム市場は、現在の住宅ストック数(約5,362万戸)や、このうち1990年代に建築されたもの(築20年前後)が約1,062万戸(住宅ストック全体の19.8%)あることから考えても、大きな潜在需要を抱えていることは間違いありません。
これらの潜在需要を上手に掘り起こすことができれば、住宅リフォーム市場は一気に加速する可能性があると思います。
一方、空き家率がどんどん増えていく中で、新築住宅の着工件数はそれほど減少していない傾向があり、2019年の新築住宅着工件数は88万戸で、いまだに年間90万戸近く建てられています。
こうした背景には、現在の住宅ローンの低金利や、リフォームに対する金融支援不足(長期ローン、税制優遇等)、現行の不動産評価基準(リフォームしても建物評価に適正に反映されない)などがありますが、リフォーム工事に対する不安が大きなネック要因になっていることは否めません。
リフォームの不具合調査を行っているとわかるのですが、こうしたトラブルの原因は、最初の業者選定を誤ったと思われるケースがほとんどです。
以前から何度もお伝えしていますが、現行の建設業法では、500万円未満のリフォーム工事には建設業の許可が不要なので参入障壁がなく、悪徳リフォーム事業者を完全に排除することができません。
またインターネットで商品を安く販売し、施工と施工管理は地元の工事会社に丸投げするといった営業だけの会社も増えています。
これらの業者を排除するためには、優良な事業者の「見える化」を行い、認証させる仕組みづくりが急務になります。
また一般ユーザーの方に対しての啓蒙活動をより広範囲に行っていくことが、これからのリフォーム業界全体の課題になるでしょう。