2010年、政府は新成長戦略として「中古住宅・リフォーム市場の倍増」を掲げました。
新築住宅一辺倒だった政策を転換し、2020年までに中古住宅流通・リフォーム市場の規模を倍増する目標を発表しています。
しかしこの計画を実現するためには、売買とリフォームの融資の一本化と中古住宅の品質・性能面での不安解消は大きな課題です。
中古住宅においては、瑕疵があった場合の保証や保険など新築住宅の様にまだ十分に整備されていないのが現状だからです。
中古住宅購入にあたっての建物調査実施率は約半数?
不動産流通経営協会は、2015年版の「不動産流通業に関する消費者動向調査」の結果を公表しました。
それによると、中古住宅購入にあたり住宅保証や建物調査(ホームインスペクション)などを利用した人は44.6%で、
2014年発表の46.2%とほぼ同じでした。(中古戸建 54.5%、中古マンション 40.1%)
しかしこの中には不動産会社等による建物保証及び「既存住宅売買かし保険」の利用にあたって実施された検査も含まれています。
不動産会社等による建物保証は、あくまで売主及び買主へのサービスとして不動産会社が独自に行うものなので、すべての
中古住宅で利用できるわけではありません。
また、「既存住宅売買かし保険」も耐震等の一定の性能を満たす事が条件となるため、利用率はわずか8.7%でした。
どんな住宅でも実施可能な民間の建物検査(ホームインスペクション)の実施率は15.2%で、売主が費用を負担している
割合の方が多かったそうです。
しかし、不動産流通経営協会は不動産仲介の大手や中堅の企業が会員の団体のため、中古住宅購入の全体像では建物調査の実施率はもっと低いと思われます。
中古住宅は新築に比べて安価で入手でき、住宅ローン等の負担が少ない事、購入後の値下がり幅が比較的小さいため
資産価値の維持としてはメリットが大きい事などの利点があります。
一方で、中古住宅の品質・劣化状況については大きな不安要素です。
ホームインスペクションがさらに普及して、実施率が欧米並みに増えれば、中古住宅流通市場はもっと活性化するはずです。