中古住宅にはほぼ100%不具合があるってホント?

以前から住宅業界でささやかれていた2020年の「省エネ基準適合義務化」が見送られることになりました。
省エネ住宅を建築することができなければ市場からの撤退を余儀なくされるため、これまでZEHなどの省エネ住宅に必死で取り組んできた住宅会社にとっては、はしごを外された思いでしょう。

今回の決定は「省エネ義務化に対応できない事業者がいるため」といわれていますが、いずれはもっと高いレベルでの省エネ性が求められる様になることが必至の中で、現段階で対応できない事業者はどのみち今後の事業継続が難しくなると思います。
地球温暖化防止の観点からも、省エネ住宅建築への取り組みは今後益々重要になるはずです。
新築住宅会社のみでなく、リフォーム会社も住宅の省エネ化への意識をもっと強く持つ必要があると思います。

さて、先日ある方から「住宅を購入したいけれども中古住宅ってどうなのでしょうか?不具合などはないのでしょうか?」という相談を受けました。

残念ながら中古住宅のインスペクションを行うと、ほぼ100%の確率で何らかの不具合が見つかります。
一般の方が見てもただ表面化していないだけで、住んでから不具合に気付いても、ほとんどの方が致命傷になる様な欠陥でない限り我慢してそのまま住んでいるのが現状でしょう。
前述した省エネ性能などは、築年数が古くなるほど劣ると思ってほぼ間違いありません。
しかし、重大な欠陥であれば購入を控えるべきですが、小さな不具合まで気にしていたら購入できる物件がなくなってしまいます。

また不具合の中には、新築当時からのものと思われるものも少なくなく、すべてが中古住宅に限ったこととはいえません。
そして、築年数が経っていれば経年劣化が見られるのは当然のことで、どんなに丁寧に建てられた家でも時間の経過と共に不具合が生じてしまいます。
でも、その多くは適切な修繕工事を行うことで解消することが可能です。

中古住宅を購入する上で大切なことは、建物のコンディションを正確に把握して「修繕にいくらかかるのか」を知ることにあるのではないでしょうか。
したがって中古住宅に対する不安は、実は不具合の有無ではなく、購入後に想定外の費用が発生することに対する不安なのだと思います。
購入後に必要になる修繕費用をあらかじめ知ることができれば、中古住宅購入に対する不安はほぼ解消できるといえるでしょう。

中古住宅には保証がないことがある

一方では、購入後に不具合が見つかっても「保証があるから大丈夫」と思っている方も多いと思います。
新築住宅の場合は、基本的に「構造に関わる部分」と「雨漏りを防止する部分」については10年間の保証が法律で義務付けられていて、その他の部分については売り主に2年以上の瑕疵担保責任があります。
また中古住宅の場合にも、宅建業者が売り主の場合には、宅地建物取引業法で売り主が最低2年以上の瑕疵担保責任を負うこととされています。

しかし中古住宅の売買では一般的な個人などが売り主の場合には、買主の合意のもとで瑕疵担保責任の範囲や期間を自由に定めることができるため、「保証なし」とすることも可能です。
したがって築年数が15~20年以上の建物では、「売り主は瑕疵担保責任を負わない」とするのが一般的になっています。

そのため中古住宅の購入にあたっては、建物の状態を良く見極めて契約することが重要になるのです。
契約してから予想外の修繕費用がかかることがわかっても、予算オーバーとなってそのまま我慢して住むしかなくなってしまうでしょう。

前述した様に中古住宅購入前にホームインスペクションを行う目的は、単に不具合の有無を調べるだけではありません。
ホームインスペクションの結果に基づいて適切な修繕計画を立て、修繕費用を含めた資金計画を立てることが大切です。

弊社の中古住宅購入前のインスペクションでは、修繕計画や修繕費用のアドバイスも行っていますのでお気軽にご相談ください。

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インスペクションで見つかった不具合事例
天井のシミ跡から雨漏りが疑われたが、他の様々な事象から天井に生じたシミの原因は雨漏りではなく、天井裏にあるエアコン配管の結露と判断
配管に保温材を巻くことで、比較的簡単に改善できる

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