住宅のリフォームには一般的に「相場」はあっても「定価」はありません。
リフォームする家ごとに築年数や劣化具合、構造や設備、工法などが異なるために、必要になる工事範囲や施工方法が違ってくるためです。
例えば浴室をシステムバスにリフォームする場合には、「既存の浴室がタイル貼の在来工法によるものなのか、ユニットバスなのか」、「既存の配管の劣化具合はどうか」、「窓や換気扇はあるか」、「土台や柱が腐食していないか」、「構造補強が必要か」、「現在追い炊きが可能かどうか」などによって必要な工事が異なります。
「浴室リフォームの定価は〇〇円」といったリフォーム会社共通の価格はないのです。
本来、リフォームの費用は現場調査を行って現況を良く確認してからでないと、正式な見積もりは出せません。
しかし、リフォーム会社のチラシなどでは工事費を含めた価格を表示しているものもよく見かけます。
「戸建て用浴室リフォーム 工事費込み一式 〇〇万円」とか「システムバス一式 材工価格 〇☓万円」などです。
いわゆる「定額制リフォーム」、「パック工事価格」などと呼ばれているものです。
いちいちリフォーム会社に問い合わせて見積もりをとらなくてもリフォーム費用がわかるので、消費者にとってはとても親切で便利な様に思われます。
しかしこれ以外に費用がまったくかからない訳ではない事が多いので、注意が必要です。
「定額制リフォーム」に含まれる標準工事費とは?
定額リフォームに含まれる工事費は「標準工事費」と呼ばれるもので、最低限必要と思われる工事のみの場合がほとんどです。
簡単にいえばあらかじめリフォーム会社の方で条件を設定し、「この条件に合う家であればこの金額で工事しますよ。」というものです。
また「標準工事費」の内容や工事範囲もリフォーム会社によって様々なので、単純に比較する事もできません。
浴室をリフォームする場合でもそのほとんどが配管交換や構造補強、土台や柱の腐食部分の交換などは別途工事となっていて、工事が必要な場合には追加工事となります。
つまり「定額制リフォーム」といわれるものであっても、最終的な工事代金は正式に見積書を取得後でないとわからないという事です。
それにもかかわらず、「標準工事費以外に一切追加費用を請求されなかった」という場合には、喜んでばかりもいられません。
本来必要なはずの工事や、併せて行っておいた方が良い工事が行われていない可能性もあります。
「付帯する工事はどこまで含まれているのか」「どんな場合に追加費用が発生するのか」を事前に良く確認しておくことが、トラブルを防止する上で大切です。
わかりやすいと評判の定額制リフォームですが・・・。