現場の失敗から学んだ事

トランプ次期アメリカ大統領が、日米貿易不均衡をめぐり日本を名指しで批判しています。
トランプ氏の一言で株価などにも大きな影響があるので、先が思いやられます。
しばらく日米関係から目が離せそうにありません。

さて、どんな人でも仕事で大きな失敗をした経験が、過去に一度や二度はあると思います。
「失敗は成功の基」といいますが、プロとして犯してはならないミスもあります。

私も住宅会社に勤務していた頃、何度か大きな失敗をした事がありました。どれも運よく解決する事ができたのが幸いでしたが、今でも思わず肝を冷やす失敗もありました。

私が入社2年目か3年目位だったと思います。当時の私は、木造の注文住宅の現場監督をしていたのですが、ある日社外の建築設計事務所が設計監理を行う現場を担当する事になりました。地元ではそこそこ名の知れた設計事務所だった様ですが、その現場で問題が起きたのです。
設計監理といっても、監理とはほとんど名ばかりで、設計事務所の先生は地鎮祭や上棟式に顔を出すだけで、それ以外はほとんど現場を見に来る事もなく、竣工間近な状況でした。
足場を解体している際に、私は建物の外観にふと違和感を感じたのです。その違和感の正体は、南面の屋根が母屋下がりになっていた事でした。
建築基準法では、敷地の北側に隣接する建物の日照を確保するために、一定の基準を定めて建物の高さを制限している(北側斜線制限といいます。)のですが、何と建物の北側でなく南側の屋根を低くしてしまったのです。
すぐに会社に報告しましたが、完全に血の気が引いていた事と思います。

なぜこの様な事が起こってしまったのでしょうか。
直接の原因は、図面が間違っていた事でした。そして本来であれば、建築確認申請の際に間違いを指摘されるものですが、なぜか役所のチェックでも見落とされてしまった様で、信じられない事にそのまま建築確認が下りてしまっていたのです。

当時の私はまだまだスキル不足で、設計したのが社外の設計事務所だったという事もあって、事前に図面チェックをする余裕などなく、設計図面通りに工事を行う事で頭がいっぱいだった様に思います。
しかし、「図面通りに施工したので良い」とは口が裂けても言えません。
後で確認すると大工もおかしいと思いながらも、地元での実績の多い建築士の設計だと聞いて、そのまま作業を進めていた様でした。今考えると、現場監督として本当に恥ずかしい話です。

昔の現場では、信じられない事があった!

こうして起きたこの問題。通常であれば、小屋組ごとそっくりやり換えになるのが普通ですが、何故かやり直す事もなくそのままの状態で完了検査も通ってしまいました。役所にもミスがあったので、黙認されてしまったのかもしれません。

誰がどのような手段で何事もなかったかの様に収めたのかは、当時現場の一担当者に過ぎなかった私には知る由もありませんでしたが、一番の被害者は建築主と北側に住む住民だったでしょう。

現在も同じ様な事があるとは思えませんが、30年前にはこのような事も実際にあったのです。
現在市場に流通している中古住宅も、建築確認申請を行っているからといっても決して安心できません。

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