中古住宅診断の意向確認の義務化とは?

すでにご存知の方も多いと思いますが、2月26日に「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、中古住宅の売買の仲介契約時に、専門家による住宅診断を行うかどうかを売主や買主に確認するよう不動産仲介業者に義務付けする事になりました。これによって「住宅診断」の活用を促すとの事で、2018年の施行を目指すそうです。既存住宅の流通の促進を図るのが目的ですが、住宅診断(インスペクション)の意向を確認する事が義務付けされるだけで、インスペクションの実施自体が義務付けされるわけではありません。
民主党政権時には「インスペクションの義務付け」が検討されていたと思うのですが・・・。
不動産業界団体からのなんらかの圧力でもあったのでしょうか?

また診断を行う場合は、不動産業者があっせんする業者が診断を実施し、診断結果は不動産業者が買主に対して行う重要事項説明に盛り込む事となっています。
これによって、中古住宅の質に対する消費者(買主?)の不安を取り除くのが狙いだそうですが、果たしてそうなるのでしょうか?

宅建業法の一部改正法案の問題点

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従来から不動産の鑑定や価格査定は不動産業者が主導で行われている事が多く、買主の不安の一因だったはずです。不安を取り除くために診断の普及を促進したとしても、診断を行うのが不動産業者があっせんする業者ではあまり意味がない様に思います。不動産業者にとって「都合が良い業者」に診断をあっせんする事になる懸念があるからです。
不動産業者にとって「都合が良い業者」とは、「事実を正確に報告しない業者」または「建物の瑕疵や不具合を発見する能力のない業者」などです。
これで買主の不安が解消できるとは思えません。買主自らが指名した業者が建物診断を行ってこそ、不安解消に繋がるはずです。

今回の改正案はまだ閣議決定の段階なので正式決定ではないのですが、このまま決定してもこれによって中古住宅の流通が目に見えて活性化する様にはとうてい思えません。

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