先日、オランダの首都であるアムステルダム東部湾岸地区の再開発の事を知りました。
慢性的な住宅不足を補うために、アムステルダムの中心部に隣接する旧港湾エリアを住宅に転用するとの事です。
建築家の手により近代的な集合住宅がいくつも建設されている様です。
アムステルダムといえば運河が網の目状に広がる運河の街として有名です。
私も以前の勤務先で、20年程前に海外研修で視察に行かせてもらった事があります。
当時からすでに都市部の住宅は不足気味で、運河に浮かべたボートを住宅に改造して暮らす人達もたくさんいました。
エンジンを外したボートは動きませんが、電気や水道、ガスを引き込み、住所もありました。
しかし特に印象に残ったのは、やはり運河沿いに古くからぎっしりと並んで建っている住宅でした。元は17世紀の豪商のものだったそうで、300年以上経っても現役の住宅として使われている様子に、日本の住宅事情との違いを実感しました。
昔は家の間口の長さで税金が決められていたそうで、間口が狭く(狭い家では2m程度しかない!)、両側の家に接して建てられていました。奥行のある細長い敷地で3階建て~4階建ての建物が多く、採光のための縦長の大きな窓が特徴です。
間口が狭いため大きな荷物の搬入時には、道路に向かって突き出した梁にロープをかけて、荷物を引き上げるのだそうです。
また、運河沿いの軟弱な地盤のため、建物の下には長い杭がたくさん打ち込まれているそうですが、傾いている家もたくさんありました。
荷物を吊り上げる際に、建物の壁に当たらない様、建築時から道路側に傾かせているとの説もある様です。
確かに傾いている家はほとんど道路側に傾いていたのですが、真偽の程は私にはわかりません。
歴史ある建物を長く残す意義
今回、アムステルダムの再開発と聞いて、歴史ある運河沿いの住宅がなくなってしまうのでは・・・と心配したのですが
やはりヨーロッパ。
安易に歴史ある建物を壊す事はない様なので安心しました。
運河沿いに建つ住宅は決して建物の色やデザインが統一されている訳ではないのですが、なぜか統一感があり独特の景観で、20年経った今でも忘れられない街並みです。
歴史ある古い建物を修繕しながら長く持たすという文化が、我が国でも早く根付いて欲しいと思います。