築30年以上の家

今日から9月。
今年もあと4か月になりました。
年頭に立てた目標を意識して残り4か月間頑張りたいと思います。

さて、時々築30年以上の木造住宅のホームインスペクションを依頼されます。
築30年といえばちょうど私がこの業界で仕事を始めた頃に建築されたものなので、当時現場監督をしていた私にとってとても懐かしい気持ちになります。

30年前の建物は、建築基準法などの法規や生活スタイルなども現在と異なる点が多く、現在の住宅との違いがたくさんあります。
当時の木造住宅は在来の軸組工法が主流で工場でのプレカットなどもなく、ほとんどが大工さんの手刻みでした。(大工さんの腕によって品質にも大きなバラツキがありました。)
また使用される構造材はほとんどが無垢材で、スギやヒノキの柱が多く使用されていました。
構造材の緊結金物も現在の様に多くはなく、筋交いの固定は土台や梁に相い欠きして釘止めする(当時の公庫仕様)のが普通だったと思います。
今は既製品を取り付けるだけのドア枠や巾木、廻り縁などの造作材も当時はみんな大工さんが無垢材を加工したものでした。

断熱材はグラスウールが一般的で現在の様な細かな施工基準もなく、外部に面する天井や壁に入っていれば良いという認識程度しかなかった様に記憶しています。(床には断熱材を入れない事も珍しくありませんでした。)
よってこの時代の住宅の断熱性能は最初から期待できません。

古くてもたくさんのメリットがある築30年超の家

一方当時のほとんどの家には本格的な和室が最低一つはあったと思います。
現在の和室の様な大壁ビニールクロス仕上げではなく、真壁で左官仕上げ、本長押付きの本格和室です。
そして建売住宅でも床の間や書院があるのも珍しくありませんでした。
当時和室の造作を見れば大工さんの腕の差が一目でわかったものです。
腕の良い大工さんによって丁寧に仕上げられた和室は、30年以上経った今でも歪みや隙間が全くありません。

そして浴室や建具も現在のような工場生産のユニット商品ではなく、タイル仕上げの浴室や建具屋さんが作った建具が主流でした。外壁も左官屋さんによるモルタル仕上げが一般的です。

当時の住宅は、現代の住宅と比べれば耐震や断熱などの住宅性能はあきらかに劣るものだと思いますが、職人の思い入れは非常に強かった様に思います。

ホームインスペクションをするにあたって、現在の基準で評価すれば当然評価は低くなってしまうのですが、リフォームする事によって最低限の基準をクリアする事は十分に可能です。

例え古くても大切にメンテナンスされてきた家には現代の住宅にはない深い「味わい」があり、今では入手困難な木材やガラスが使用されていたり、職人の魂が感じられる家もたくさんあります。
ただ単に古くて安いからという理由だけでなく、この様なメリットを求めて中古住宅を探す方も決して少なくないと思います。
弊社匠住宅診断サービスでは、この様な方の程度の良い「住まい探し」も全力で応援したいと思っています。

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築30年以上の家はほとんどがこの様な在来軸組工法の家です。

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