首都圏の新築マンションが高騰しているため販売が減少している中、中古マンションを購入してリフォームする人が増えている様です。
私が勤務していた会社でも、マンションのスケルトンリフォームの依頼は少なくありませんでした。
しかし、リフォームを前提に中古マンションを購入する場合は、物件選びが非常に重要になります。
マンションは一戸建住宅と異なり建物全体の規模が大きく、共用部分があるため、リフォームするにも様々な制約があります。
また管理規約でもリフォームに関しての取り決めがあるので、自分の思い通りのリフォームができない事も珍しくありません。
購入後に希望のリフォームができない事がわかったとでもなれば、泣くに泣けません。
マンションには、リフォームしやすいマンションと、リフォームしにくいマンションがあるのです。
では、どの様なマンションがリフォームしやすいのでしょうか?
リフォームしやすい中古マンションとは?
まずはどんなハウツー本にも書かれているのが、間取り変更を考えているなら間仕切り壁が木や軽量鉄骨で作られている事。
5階建て前後の低層のマンションの場合は、間仕切り壁がコンクリートでできている事が多いため、その場合は撤去する事はできません。住戸内に構造上撤去する事ができない柱や壁がないか、不動産会社に確認してください。
またコンクリートの壁でなくても、パイプスペースは共用部分にあたるため、撤去や移動はできません。
部屋の中央付近にパイプスペースがある場合は、間取りの自由度が低くなるので要注意です。
また、間取り変更や水廻り位置の変更を考えている場合は、天井や床下に隙間がある二重床・二重天井になっている方が好都合です。天井や床のコンクリートに直に仕上げ材が貼ってあるマンションの場合は、あまりリフォーム向きとはいえません。
リフォーム費用が余分にかかったり、リフォーム後の天井高が低くなったりする可能性大です。
浴室はユニットバスの方がリフォームが容易です。古いマンションの場合、タイル貼の在来工法浴室になっている事がありますが、最新のシステムバスに変えようと思ってもサイズ的に入らなかったり、デットスペースができてしまう可能性があります。また、浴室廻りの壁がブロック積みになっている場合には、管理規約で解体する事を禁止しているマンションもあるので事前に確認が必要です。
そして、水廻りの大掛かりなリフォームを考えている場合は、配管がスラブ上配管になっている事を確認して下さい。
1970年代までに建築された古いマンションの場合は、配管が下階の天井裏にある場合があり、その場合はリフォームや将来のメンテナンスに支障があります。
その他床に段差が多いマンションや、北側の壁面にカビが酷いマンションは、リフォーム費用が割高になるのでできるだけ避けたいところです。
設備面では、電気の引き込みが3線式になっている事は重要です。2線式だと電気容量を増やす事は困難で、IHクッキングヒーターなどの最新の機器はほとんど使えません。
せっかくリフォームして思い通りの間取りになっても、度々電気のブレーカーが落ちてしまっては、とても快適な生活は望めません。
またマンションでは、電気やガス容量の上限が決められている場合もあり、給湯機の容量アップや床暖房の新設などができない事も多いので、電力会社やガス会社に問い合わせを行い、不動産会社を通じて管理規約を確認しておく必要があります。
また、つい見逃してしまいがちなのが換気扇の排気ダクトの問題です。間取り変更や水廻りのリフォームで新たに換気扇が必要になっても、外壁や梁に穴を開けるわけにはいきません。換気扇の排気経路については、事前に十分検討しておく必要があります。
11階以上の高層階の住戸を購入する場合にも注意が必要です。
住戸面積が100㎡を超える場合には建築基準法の内装制限の規制を受けるので、壁を木の無垢材などでリフォームする事はできません。
最後に管理規約による制限の確認です。床をリフォームする場合の床材の遮音性能の指定や、作業時間の指定などは必ず確認しておきたいところです。
私が経験した中には、「土・日・祝日は作業禁止。作業時間は9時~17時まで」とか「天井や壁、床のコンクリート面にビスを打つ事は一切禁止」のマンション、共用のエントランスホールの床やエレベーター内の養生(傷や汚れを付けない様にシートやべニヤ板等で覆う事)は、「毎日やり換える事」などという工事人泣かせの規約があるマンションもありました。
この様なマンションでは、当然工事費は割高になります。
他にもマンションの管理規約には、時代遅れと思われるおかしなものがたくさんありました。
どうしても不条理だと思える場合には粘り強く交渉する事で、規約を変更してもらえる可能性もゼロではなかったのですが、時間がかかるのは覚悟しなければなりません。
近年では、立地が良くて手頃な値段で購入できる築年数の古いマンションを購入して、フルリノベーションして住むのが若い人達を中心に人気の様です。
しかし一般的には築年数が古くなるほど、リフォームに制約が多く、電気やガスの容量にも制限が多くなります。
購入後に後悔する事がない様、事前に十分確認する事を忘れない様にしてください。
そして昭和56年以降の新耐震基準で建てられている事、または耐震補強工事が実施されている事は絶対に欠かせません。
弊社では、中古マンションの購入前相談も承っております。
「どんなリフォームが可能なのか」、「希望のリフォームができるのか」など、ご要望によって物件下見にも同行させていただきます。
お気軽にお問い合わせください。