アパート界壁の防火性能の重要性

昨春に表面化してから施工不良問題が後を絶たないレオパレス21では、とうとう社長の辞任にまで発展してしまいました。
しかし界壁の施工不良(未設置、施工不備)などの防火規定違反が、どのような問題をもたらすのか一般の方には実感できないということも多いのではないでしょうか。

建築基準法では長屋又は共同住宅の各戸の界壁は準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達する様に設計・施工しなければならないことになっています。
これは隣接する住戸から発生する音を生活上支障がない様に低減するためだけでなく、隣戸で発生した火災を一定時間、室内にとどめておく事を目的としています。

隣の住戸との境の壁に隙間があったり、隣戸と天井裏や小屋裏でつながっていたりすると、火はたちまち隙間から隣の住戸に燃え広がってしまいます。
そのため界壁には、消防署が消火活動を行うまでに容易に隣戸へ延焼しない様な役割が求められているのです。

下の写真は、私がつい先日に火災被害を受けたアパートの建物被害調査を行った時のものです。
軽量鉄骨造2階建のアパートでしたが、火元になった1階部分の住戸は、ほぼ全焼でした。
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角部屋なので、向かって右側が隣の住戸になります。
天井材と木製の天井下地はほぼ燃えてなくなり、壁の下地材を一部残しただけで軽量鉄骨の骨組みがむき出しになっています。
また石膏ボードの天井がなくなったために、2階の床や木製の根太も焦げて炭化してしまっていました。

実際に火災にあった建物を見ることで再認識する建物の防火性能の重要性!

しかしこの様な状態であっても、隣の住居には燃えた跡がほとんどありませんでした。(下の写真)
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向かって右側の壁の反対側が全焼した部屋になります。
煤や煤けた臭いは残っていましたが、生活する上ではほとんど支障がないレベルです。
また、火元になった上階の部屋は若干被害を受けていましたが、安全に非難する時間は十分に確保されていたと思われます。

鋼材は長時間火熱にさらされると著しい強度低下が懸念されるので、建物の補修範囲については今後詳細な調査が必要になりますが、防火性能に不備がある木造アパートだったらこの程度の被害では到底すまなかったと思われます。
(今回の火災では、幸いにも怪我人や近隣住民への被害もなかったようです)

いざという時に「建物が人の命を守る事」って最も大切なことですよね。
この様に実際に火災にあった建物を目の当たりにすると、普段から建築に携わっている私たちでも建物の防火性能の重要性を再認識させられます。

賃貸アパートに入居している方のみでなく、賃貸アパートのオーナー様にとっても入居者の安全に関わることなので、建物の防火性能に不安を抱えている方は少なくないでしょう。
しかし、界壁施工などの防火性能に不備があるアパートは、レオパレスだけに限りません。
小屋裏に界壁がないというケースは少なくても、施工に不備があるケースは過去に私が調査を依頼された物件でも時々ありました。
不安を感じるのであれば、早めに第三者の専門業者に調査を依頼してみることをお奨めします。

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