ホームインスペクションはあら探しか?

先週は不動産・建設業に関わる大きな事件が2件明るみに出ました。
1件めは油圧機器メーカーのKYBとその子会社による免振・制振装置データ改ざん問題です。
以前から個人的に馴染みのあるメーカーだっただけに、驚きでした。
KYBはすでに設置済みの不適合な装置を、本当に全て交換することができるのでしょうか。
こうも様々な製造メーカーで不祥事が続くと、日本のモノづくりはいったいどうなってしまうのか心配です。

2件めは大手住宅メーカー「積水ハウス」が約55億円を詐取された事件です。
日本を代表する住宅のプロ集団でもプロの地面師グループの手にかかると、こうも簡単に詐欺にあってしまうものでしょうか。
2つの事件共、目先の利益を追求するあまり企業として大切な事を忘れてしまっている様に思われます。

さて、「ホームインスペクションを行うことでどんなメリットがあるのか?」
「インスペクションは依頼者の不安を煽ったり、反対に安心の押し売りをするだけで、誰も得しないのではないか?」

ホームインスペクション、住宅診断、工事の不具合調査などの仕事をおこなっていると、不動産業者や建築業者の人から時々こんな嫌味を言われることがあります。

建物調査は住宅販売を行う人からは、ともすれば不具合のあら探しや、「商売の邪魔」と思われがちです。
数年前までは私自身も建物を作って供給する側の立場の人間だったので、気持ちはわからなくもありません。

住宅診断は特に建築業者よりも不動産業者の方から「うっとうしい行為」「怪しい商売」と思われる様です。
万が一物件に瑕疵や不具合が見つかれば自らの業務に支障がでるので、自分達の利益を優先する限り手放しで喜べません。
しかしハウスメーカーや住宅会社、不動産業者から私共に仕事の依頼があることも少なくありません。

・現在お客様とトラブルになっているので、第三者の中立的立場の専門家からの意見を伝えて欲しい
・社有物件の売却をするにあたって、売り主としてのリスクを回避するために住宅診断して欲しい
・リフォーム済の再販物件の完成検査をして欲しい
などといったケースです。

一方今後の住宅事情を考えた場合、住宅性能の向上、リフォーム工事のレベルアップ、中古住宅流通の活性化が不可欠です。
高品質の住宅を建ててリフォームで資産価値をさらに高め、安心して中古住宅の取引ができる世の中になることを目指す必要があります。

インスペクションは建物を診た後に得られるメリットにこそ価値がある!

また依頼者にとって大切なことは、単に診断を受けて建物のコンディションを知るだけでなく、「建物を診た後にどんなメリットがあるのか」という事です。
それは不動産中古物件の買主に対してばかりではありません。
安心して中古住宅の売買ができるようになって中古住宅の流通が活性化すれば、不動産業者にも大きなメリットがあります。
今後ホームインスペクションが幅広く認知されるためには、不動産業者、建築業者を含むすべての人たちにとって有益な「インスペクション」を提供しなければいけません。
単に建物調査を行って優劣をつけるだけでなく、建物を有効活用していく上での提案や情報提供を心がけていきたいと思っています。
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建物をただ診断するだけのインスペクションでは意味がない!

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