家は資産と呼べるのか?

住宅は「一生の買い物」といわれる高額商品です。
ほとんどの人は借金をして、長期のローンを組んで住宅を購入します。
中には一生をかけて、定年後まで住宅ローンの返済に追われる方もいるでしょう。

住宅を購入する機会は一生のうち何度もなく、消費者はその数少ない取引の中で、住宅に関する様々な事を学んでいかなければなりません。
売り手と買い手の間に「圧倒的な情報格差」があるのが住宅なのです。

そんな住宅の取引で、「失敗しないようにする」のは並大抵な事ではありません。
営業マンの話を信じて契約し、入居した後から「こんなはずではなかった」と思っても、元には戻りません。
ハウスメーカーや不動産会社の営業マンの言葉巧みな勧誘から、嘘と真実を見分けて自分で判断しなければなりません。

そしてやっと手に入れた住宅も、最初は「資産」だと思っていても、我が国では20年も過ぎれば建物の価値がゼロになるというのが慣例でした。住宅ローンは残っていても、建物の価値はゼロになってしまうのです。
これでは、住宅も単なる消費財に過ぎません。資産と呼べるのは土地だけです。

変化する住政策と住宅の今後

海外の多くでは、家も土地と同様に資産であり、投資の対象です。家の資産価値を高めるために、自分でせっせとメンテナンスを行い、取引する際には専門家によるホームインスペクションは欠かせません。
ホームインスペクションの結果、メンテナンスが行き届いたコンディションの良い家は、高値で取引されます。
欧米では資産である家を、自らDIYでメンテナンスするのが普通になっています。

一方、メンテナンス状態が正当な評価をされず、住み続けるうちに価値が下がるのが当たり前の我が国の住宅は、「資産」と呼ぶには確かに抵抗があります。

この様に住宅はほとんどの方にとって、「一生のうちで最も高価な買い物」であるにもかかわらず、おかしな事だらけです。
収益力が高く、投資回収が確実な新築ばかりを建て続け、消費者も家が古くなれば建て替えたり住み替えたりするのが当たり前だった頃には、それでも良かったのかもしれません。
今までは、住宅業界の人達も消費者も疑問を感じながらも許容してきた事ですが、「量から質、ストック重視」へと住政策が見直されたこれからは、「家を資産として大切にメンテナンスし、愛着を持って長く住む」習慣を作る事が必要だと思います。

車でも丁寧にメンテナンスされたものは、高く売れます。人気のある希少車などは、新車当時よりも高い値段で取引されているものも珍しくありません。
住宅も車と同様に、メンテナンス記録を残しておくことも必要です。

そして中古住宅の取引の際に、消費者をサポートする体制の整備も重要な課題になるでしょう。
有料でホームインスペクションを行う事に抵抗があるなら、住宅購入前に住まいについて自ら学習する必要があると思います。
これからは、住教育も大切になるでしょう。

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