建替かリノベか、新築か中古住宅を購入してリノベーションかで迷ったら?

千葉市のホームインスペクション専門会社「匠住宅診断サービス」です。

近年は比較的若い世代の人達を中心に、安く中古住宅を購入して自分たちのライフスタイルに合わせて自由にリノベーションして住むのがブームです。
しかし築30年未満のマンションであればそれほど大きな問題はありませんが、戸建の築古物件に1,000万円近く費用をかける場合には注意すべき点が数多くあります。

リノベーションというと、間取りの使い勝手の向上や最新の住宅設備機器の導入、デザイン性の向上などに気を取られがちですが、「リノベーション後に何年安心して住めるのか?」ということが実は最も重要なのです。
これを軽視するとせっかく高額の費用をかけてリノベーションしても長く住み続けることができないので、必ず後悔することになります。
したがって「建て替えかリフォームか」「新築住宅の購入か中古住宅を購入してリノベーションするか」で迷った時にはプロの意見を聞くことが必要になるため、私も以前の勤務先ではこの様な相談をたびたび受けました。
一方で、こうしたアドバイスを的確に行える人はそんなに多くありません。
一般的にはハウスメーカーや建築設計事務所に相談すれば新築や建て替えを、リフォーム会社に相談すればリフォームを奨められるでしょう。

リノベーションでは、耐震性・断熱性の向上や劣化対策などを行って新築と同程度の性能を確保し、快適・安全に暮らすことができる様にすることが欠かせません。
しかしその様にするためには、現在の建物の状況によって費用が大きく異なり、2000万円近くかかってしまうことも少なくないのです。
リノベーションに1,000万円以上の高額な費用をかける場合には、補助金が受けられる長期優良住宅化リフォームが可能かどうかがひとつの目安になると思います。
長期優良住宅化リフォームとは、「耐久性があり、地震に強くて省エネ性が高く、維持管理がしやすい」住宅にリフォームする場合にその工事費の一部(最大300万円/戸)を国が補助するものです。
私は以前の勤務先で様々なリノベーションを行い、築30年以上の住宅で新築と同等以上の性能を確保した経験が多数ありますが、状況によっては建て替えた方が費用が安いということも少なくありませんでした。
中古住宅には新築住宅ほど税制優遇や住宅ローン控除のメリットがないので、少なくとも建て替え費用よりも2~3割程度安くならなければ、リノベーションを行うメリットはあまりないといえるでしょう。

建て替えかリノベーションかを判断する基準とは?

しかし1981年以前に建築された旧耐震の住宅で現在の住宅並みの住宅性能を確保しようとすると、ほとんどのケースでは建て替えた方が安くなります。
また木造住宅の場合は2000年に耐震基準が一部改正されているので、新耐震基準で建てられていても耐震診断を行うと補強が必要になるケースが数多くあります。
さらに2000年以前に建てられた住宅は、断熱性能も劣ります。(床下に断熱材が入っていない、窓のガラスが単板ガラスになっている、などが一般的です)
したがってリノベーションを行う前には住宅診断や耐震診断を行ったり、メンテナンス履歴を確認したりして現況を十分に把握することが不可欠です。
この様な調査を行わずに建て替えやリフォームを奨めてくる業者は信用できません。
そして建築確認申請書や完了検査済証の有無、建築後に違法な増改築・リフォームが行われていないかどうかも重要な判断基準になります。
最後にこれらの判断基準の目安をまとめておきますので、これを参考にしてリノベーションに不向きと思われる様なら、大掛かりな改修工事を控えて部分的なリフォームにとどめておくことも検討しましょう。

【戸建て住宅のリノベーションの可否チェック項目】
・新築した時期
 1981年以前・・・・一般的には大がかりなリノベーションには不向き。最低限の部分的なリフォームを検討する。
 1981~2000年・・・・耐震診断、住宅診断などを行い、現在の住宅性能や劣化度合いを見極めた上で判断する。
 2000年以降・・・・長期優良住宅化リフォームが比較的容易。補助金をリフォーム代金に充当することができる。
・建築確認申請、検査済証、建築図面の有無・・・・無しの場合は不適または困難。
・建物の構造
 木造軸組み工法(在来工法)・・・・リノベーションに適している。
 木造枠組み工法(2×4工法)・・・・大きな間取り変更には不向き。
 軽量鉄骨造(ハウスメーカーの型式適合認定工法)・・・・様々な制約があり不適。
・建物が傾いている
 3/1000以上、6/1000未満の傾き・・・・詳細調査が必要。
 6/1000以上の傾き・・・・不適。
・建物の形状
 凹凸が多くて複雑な形状、1階と2階の面積や壁の位置が大きく異なる場合などは費用が割高になる。
・メンテナンス履歴の有無・・・・無の場合には事前調査・住宅診断が必要。
・違法な増改築の有無・・・・有の場合は困難。

また専門家によるアドバイスを希望する場合には弊社でもご相談を受け付けていますので、お気軽にお問合せください。

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