床タイルの施工不良

厚生労働省は過労自殺問題を受けて、残業80時間超で企業名を公表するといいます。
残業時間が過労死ラインである月80時間超の労働者がいる企業は全体の2割以上に及ぶといいますが、現実はもっと過酷で、実態を正確に把握しているとは思えません。法律で規制する事も必要ですが、それだけでは違法な長時間労働をなくす事はできないでしょう。「なぜ命を犠牲にしてまで働かなければならなかったのか」を明らかにする必要があります。

さて、タイルは粘土を平らに成形したものに釉薬をかけて焼成したものです。
硬くて傷がつきにくい材料で耐久性も高く、酸やアルカリ、火や水にも強いので、古くから住宅にも多く使われてきました。
発色も鮮やかで、デザインやカラーバリエーション、大きさも豊富なので、インテリアのアクセントとして現在でも一部の人達に人気があります。しかし一方では、目地の汚れや触ると冷たく感じるのが嫌われて、流し前や浴室に使用される事は少なくなっています。
それに合わせて、腕の良いタイル職人が少なくなった様に思います。 

最近建物診断を行った住宅で、床タイルの浮きが目立ちます。
タイル床面は、下地コンクリートの硬化や乾燥による収縮、日射や気温変化の影響を受けて経年劣化で剥離しますが、最近見た事例はいずれも施工直後のもので、施工不良が原因と思われるものでした。
1件は新築住宅の玄関及び玄関ポーチの床タイルが浮いていたもの、もう1件がリフォーム後の浴室床タイルが浮いていたものでした。
2件共、タイルの圧着不足が原因である事はほぼ間違いありません。

タイルの施工不良の原因

タイル貼の際には、圧着セメントの充填不足があると、タイルの裏側に隙間ができて剥離しやすくなります。
また、下地の養生期間が短い場合や、張付けモルタルの付しろが大きい場合にも、モルタルの収縮によってタイルが剥離してしまう事があります。
その他、タイル貼りを行う前のタイル下地の清掃が不足していると、接着不良を起こす可能性があります。

タイルが浮いているかどうかを調べるには、打診棒を使ってタイル表面を転がしてみれば、浮いている部分で音が変わるので直ぐにわかります。特別高価な機器を使用しないでも簡単な道具を使用するだけで、目視ではわからない欠陥を発見できる方法がホームインスペクションには数多く存在しています。早めに欠陥を発見して施工業者に手直しを要求すれば、無償で補修工事を行ってもらえる可能性が高いです。

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浴室床タイルの浮き調査

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